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ゴッドマザー PARTⅡ
私は可愛らしい服が好きでなく、可愛らしい服を着た女性が好きだ。
ワンピースを着るのでなく、ワンピースを着た女性が好きだし、ハイヒールを履くのでなく、ハイヒールを履いた女性が好きだ。
そんな私は女性らしい服装というのが苦手で、メンズ服、もしくはズボンを履くなどメンズスタイルの服装が好きだ。私が女性の服を着るのは、しっくりこない。私がワンピースなんか着飾っても仕方ないじゃない。そんな気持ち。
女の子なんだから、女の子らしい服を着なさい。
これは母親に言われた言葉だし、実家に帰れば男の服は、とっとくの?捨てていいの?と言われることもある。
女性は女性らしくしろ、というのは、多数派の主張なのかもしれない。それに合わせない生き方をするのであれば、少数派となる。
まだ大学を卒業したばかりの私は、少数派で生きることの、何が苦労するというの? という心境であったのだ。
そんな折、美しい女性と出会った。彼女はカトリーヌといった。細くくびれた腰にワンピースはよく似合ってうた。ワンピースから伸びる脚はヒールを履いていた。私は思わず彼女の手を取りたくなった。
そして私は彼女の腰に手を回したし、キスもした。カトリーヌと、このシチリア島でともに生きていこうと誓ったのである。
私はいつもカトリーヌを女として抱いていたし、カトリーヌもそれが好きだった。女性同士で生きていくことは少数派だが、少数派になることは何も今に始まったことじゃない。
私は相変わらずメンズ服を着ていたが、ある日カトリーヌに家族のことを話した。女の子らしい服を着なさいと言われることに、うんざりしていることを。
彼女は、
「なら、私のワンピースと下着を着てみるのはどう。今夜、あなたがカトリーヌになるのよ。そして私はあなたのメンズ服を着て、ミカエラになるの」
そう言った。
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