ゴッドマザー PARTⅢ

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ゴッドマザー PARTⅢ

私が今日、キリストの洗礼を受けることにしたのは、それがシチリア島の社会において「多数派」だからである。 シチリア島は宗教・宗派によって一般企業で差別がある。もちろん、建前で経験不足だ企業風土とミスマッチだなんとでもいえる。 不況にあえぐシチリア島の社会で、女性同士が生きていくために私が選んだ就職先は不動産投資営業である。不動産業はキリスト教徒が多数派である。 ”少数派”として生きるために、”多数派”になるのだ。 キリスト教は同性愛を禁じている。女装男装も禁じている。 少数派は多数派にあわせて自分に嘘をついて生きていく。自分以外の人間になり、愛する人の前だけで自分という人間になる。 今夜私は、カトリーヌを愛の限り抱きしめる。 私ミカエラは女性で、カトリーヌは女性である。 私はカトリーヌの下着を身につけ、ワンピースを着た。ハイヒールを履いた。カトリーヌは私の下着とズボン、メンズジャケットを着た。 いつも愛してきたカトリーヌの下着を感じると濡れた。カトリーヌは私のジャケットを着るとカトリーヌを抱いてきたミカエラになったようだった。その瞳はカトリーヌを犯す欲望が宿っていた。 カトリーヌになった私が、私になったカトリーヌに抱かれた。 私はカトリーヌとなり、ミカエラとなった彼女に犯され、「女」として達し、天国に昇天する法悦を得ていた。
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