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◇◇◇
「お茶のおかわりをどうぞ」
男二人しかいない、この室内にて。
突然、右隣から女性の声。湧水のような透き通った魅力的な声色に、聞き覚えがあった僕は声の主へ振り向く。
「あれ!〈受け子さん〉?いつから、居たんです??」
僕の言葉に、いつものようにただ微笑むだけの彼女。その微笑みは、何処となく人間臭さが無い。いつもの事だけど。
そんな考えをしているとは露知らずの受け子さんは、手前に置いてある湯呑み茶碗を手に取り、無言で新しいお茶を入れ始める。
「いやぁ〜、すみません。案件話しに夢中になって気づきませんでしたよ〜」
「……いえ、大丈夫ですよ。どうぞ、温かい内にお召し上がりくださいませ」
いつものように営業スマイルで対応した後。
(それにしても……いつから、居たんだろう?出入り口は一つしかないのに)
ふと疑問が生まれつつ、思わず心の中で呟く。新しいお茶を淹れて貰った後、一口飲む。
「彼女は、修理に出していたからね。最近、動きが悪くて〈アオイ〉に頼んだんだよ」
「……アオイ、さんですか?」
初めて聞く名前に、無意識にオウム返ししてしまう。
「あぁ!知らなくて当然だよ。だって……」
ーー 君の【御先祖】だからね
またもや、意味不明な一言。これからする予定の〈僕の計画〉が脳内からぶっ飛びかけた。だが、瞬時に切り替えて曖昧に返答して終了させた。
ココでは、深入りしてはいけない。これは、絶対だ ーー
「さて、最後に〈派遣先の出入り口の地図〉と先程の〈ダイイングメッセージ〉の用紙を渡しておくね。
……宇宙。どんな時でも、自分を見失わないようにね」
「はい!僕なら大丈夫ですよ!!
帰ってきたら、さっきのお土産のお店教えて下さいね〜♪」
案件の資料を貰った僕は、明日から始まる案件の為に宿泊先のホテルへ向かった。
頭の中に今でも過ぎる、あの言葉。
ー 天国 ◼️吸う 図書館の◼️◼️ 涙 ー
契約後に、不安が吹っ切れた今。内心これから始まるこの謎解きに楽しみにしている僕がいた。
だが、この時は知らなかった……。
今回の案件は、予想外の展開と難儀な事になるとは ーー
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