6rd glass

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6rd glass

 苦笑いしている地央との意思の疎通を図るには短すぎる廊下。  感情の整理をつけられないまま通されたリビングルームに入った瞬間3人の成人男性の視線を一心に浴びた真直、想定よりも多い人数に即座に発した挨拶は、なんともお粗末なものとなってしまった。 「こ、んにちは」  本当はもう少しマシな対応ができるはずだった。  だが御崎の登場で狂わされたところに、父親以外の大人がいるとは思っていなかったものだから、誰に挨拶をしていいのかわからなかったのだ。 「初めましてどーも」 「受験だったんだってね。お疲れさま」  二人とも年のころ30過ぎといったあたりだろうか。ソファーに座ってモヤシの根取りをしていたらしい、やや浅黒く細見で精悍な容姿をした青年と、メガネをかけた白く丸い青年が笑顔で声をかけてくれる。 「あ、ありがとうございます」  そうして視線を移し、オープンキッチンから姿を見せていた真っ黒に日焼けした短髪の、逞しい体の壮年の男が仏頂面でこちらを見ているのに、心臓が不穏に音を立てた。  うわぁ。怖ぇ。  厳つすぎだろ。  まんまじゃん。  鬼軍曹じゃん。  いや、階級知らねえけど。  つかこれは敬語になるわ。 「初めまして。黒川です」  まずは父親にしっかり自己紹介をしなければと、腹をくくって口を開いた真直に返されたのは「どーも」の短い応えのみ。  とっつきにくぅーーーー。  見た目は地央さんの遺伝子皆無だけど、受け応えが初期の地央さんそっくりだわ。  え。  つか俺、睨まれてる?  嘘だろ。  娘の彼氏が初めて家に来たときの頑固親父かよ。  え………何…?  地央さん、まさかパパにカミングアウトしてんの!?  はは……あー、そうね、地央さんって案外そういうのズバッと言いそう………うん…白黒つけたいタイプだもんね……はは…。  ────って、いやいやいやっっ。  聞いてないんすけどーーーーーー!??
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