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「っ、ああっ、はっ、ぁ、うんんっ!」  ――ああ、また、くる、くる、せっかく封じたものを出してはいけないのに、達してしまうっ……!  浅ましい期待に恍惚を浮かべた少年の花芯は力を失いかけているものの、先端からこぼれたものが糸を引いて、穿たれるたびに振り子のように揺れていた。  その下の腐食した(むしろ)には、さきほど三度も迸らせたものがねっとりとへばりついてしまっている。 「ぐっ……ほら、ほぉら、奥にっ、魑魅(まじもん)、全部出すぞ……! これは、山向こうのくなど様のぶんだっ、受け取れっ!」 「あっ、ぁっ、はい、ひっ……んあぁぁあぁっ……!」  珠は、全身を駆け抜けた何度目かの絶頂にのけぞり、びくびくと打ち上げられた魚のように身を震わせた。幸い、もう迸らせるだけの精は尽きていた。快楽だけが脳髄を焼き焦がしている。  奥に吐き出したものをぐい、ぐいと擦り付けるような動きをして、男は萎えたものをずるりと引き抜いた。すかさず、ことの成り行きを見守っていた別の男が背後へ回り込み、待ちわびすぎて反り返った雄を珠の中に押し込んだ。先ほどの若者が吐き出した精を――魑魅(まじもの)を外に逃がしてしまわぬように。 「ほれ、次はこっちじゃ」  再び揺さぶられだした珠の鼻先へ、寒村には似つかわしくない、でっぷりと突き出た下腹と、その下から首をもたげた欲が差し出される。これまでに見たことがないほど赤黒くて、生臭い。よほど魑魅をため込んでいるのだろう。  ――このひとは、隣の隣の村の、庄屋の……だれだっけ……。
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