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「それは若様次第ですなあ。ああ、お宅へ取りに帰るいうんはおえんです、逃げられてもわしらにはどうしようもできんし、お上に訴えられでもしたら、村の存亡に関わりますけえ」
「渡せるものは何もない、と言ったら」
「そらあ……命でもって詫びてもらうしかねえじゃろう、なあ村長」
「ほうじゃなあ」
村長が笠を脱ぎつつ顎をしゃくると、若人が墨尾の腹を殴りつけた。墨尾は小さく呻き、引き倒されるがままに蓆に膝をつく。胃液か何かを吐き出す仕草に珠は狼狽える。
「やめ、やめてつかさい! 墨尾さまにはっ、どうかっ」
「慌てるでねえ、次はおめえじゃ、珠」
言い終えるよりも早く、着物の袷を破る勢いで開かれた。墨尾に愛された跡のくっきりと残る、瑞々しい肌が露わになる。まるで新雪に花が綻んだような、無垢がゆえに艶めかしい色香に男どもが一斉に生唾を呑む。
「っ、珠……!」
「ひっ、な、なにを」
「何をだあ? しらばっくれるでねえ、好き者が。欲しくてたまらんようになって、わしらに断りもなく若様のもんを咥えこんだんじゃろうが。こげなことがまた起きねえように、しつけ直さねばなんねえ」
「ほれ、色狂いを若様にも見てもらえ」
下卑た笑みを浮かべた男の手が、羽交い絞めにされたままの珠の肌を這いまわる。四十を超えて枯れかけた男だが、その責め苦は常に執拗だ。脇腹をくすぐり胸の尖りを弾かれると、すぐに敏感な柔肌はざわめいた。
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