28人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
――――嵐が去った後。
あの日、注意を呼び掛けに珠を訪ねて行った男たちは、誰一人として戻らなかった。
田畑を巡回しようとして、一斉に大水に呑まれるかどうかしたのだろうと、残された者たちは涙を呑んで口々に語りあった。
何度か底をさらったが、沼からは一体の死骸も上がらなかった。
それから幾年も経ぬうちに、巨大な山津波によって村の大半が土の中に消えた。
その村は、ひっそりと潰えた。
最初のコメントを投稿しよう!