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序
舞い込んだ新緑の瑞々しい夜気が、火照った肌を撫でていった。
なぶられた燈明皿の灯火がふっと消えかけ、またあえかな煙を上げながら芯を焼き燃える。
いびつな鼎形に配置された幽玄な灯りは、部屋の中央部で絡み合う――正確には、一人を責め立てる数人の男の影をぼんやりと照らし出していた。
はあー、はあー、と耳を犯す獣じみた声は、いったい誰のものだろう。
獣のように這いつくばる己だろうか。それとも本当に獣に犯されているのだろうか。
「おい珠ぁ、おつとめの最中に考え事はいけねえなあ」
尻の奥まで咥えこまされた欲茎にいっそう強く突き上げられると、そんな疑問はすぐさま弾けてしまった。己ではけして慰められぬような深いところに与えられる快楽に抗うすべなど持ち合わせていない。
「珠、いいか、おめぇは気ィやっちまっちゃならねえぞ? 溜め込んだもんが出ちまうからなあ」
「は、いっ、はい、出しませんっ、出さない、あっ、や、ぁぁっ……」
「ほんとかよォ、お前ぇはてんで堪え性がねえからなあ」
乱れる珠の姿を肴に自らを慰めていたまだ年若い男が、ひいひいと喘ぐ珠の、はしたなく揺れる前を弄ぶ。古びた着物はたくし上げられずり落ちて、恥部はすべてまろびでてしまっている。珠は肩の位置で切り揃えられた艶のある烏羽玉のごとき髪を振り乱して悶えた。
同年配が妻を娶る年になろうとも、その相貌に雄々しさは現れない。どれだけ日に当たろうとも肌は生白く、切れ長の瞳は少年期の中性的な危うさを残したままだ。華奢ながら弾力のある双臀は、揉むと手にしっとり吸い付くともっぱらの下馬評である。
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