HAPPY BIRTHDAY MISSION

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 一年生のときの誕生日は我慢したさ。お父さんはいなくてもちゃんとプレゼントを用意してくれてたし、下手くそな字で書かれたメッセージカードもあったから。もうちょっと。もうちょっと我慢すればお父さんはまた一緒に遊んでくれるってさ。  でもさ。二年なんだ。二年もお父さんは仕事ばっかりで遊んでくれない。たまのお休みも平日だから、夜ちょっと遊んでくれても一日は無理なんだ。朝早いからって寝るのも早いし。 「僕のこと嫌いなの!?」  二年生の誕生日。またいないお父さんに腹を立ててお母さんのスマホを借りて仕事中のお父さんに電話をかけた。ごめんなばっかり呟くお父さんに僕は切れたんだ。 「仕事ばっかりで! 全然遊んでくれないじゃないか! 僕のこと嫌いなの!?」 「違う! 裕太を嫌う訳ないだろう!」  そんなの知ってる。知ってるけど言わずにはいられなかったんだ。お父さんは僕が大人になるまで僕にかかるお金を貯めるために一生懸命働いているのお母さんから聞いて知ってる。お母さんに毎晩僕の話を聞いてるの知ってる。夜遅く帰ってきたときと朝早く出るとき僕の顔を見てるの知ってる。知ってるけど、知ってるから許せない。 「僕はお父さんと遊びたいんだ!」  せめて誕生日くらい。そのとき、僕は大泣きしちゃってお母さんを困らせた。それでも、お父さんは仕事に一生懸命だった。    三年生の二月の僕の誕生日。学校に行くときに来ているコートのポケットにそれが入っているのに気付いたんだ。
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