リーリーの忍者城だいぼうけん

　パンダのリーリーは、甲賀忍者のシャオランが口寄せの術によって召喚された存在だ。

　シャオランはリーリーのことを大事に思っているし、もちろんリーリーもシャオランのことが大好きだ。

　そんな基本的にシャオランの傍を離れないリーリーにとって、恐ろしいことが起こった。

　それはコンビニ『シノビマート』での出来事だ。

　シャオランたち、忍者見習いが修行をしているコンビニ『シノビマート』

　忙しい通勤客の小腹を満たすおにぎりから、快適に睡眠を取れることで有名なまくらから、マニアックなトレンドを抑えた月間雑誌まで揃っている。

　しかし何でも揃っているコンビニ『シノビマート』は仮の姿であることを、このとき忍者見習い三人娘やリーリーは知らなかった。

　ある日、お手洗いのためシャオランの傍を離れていたリーリーはトイレの個室の中に入っていた。

　シノビマートには、なぜかミニパンダ用のトイレまで用意されている。

【（なんでぼくのトイレまであるのかなー？）】

　と思いつつも、個パンダ的にとても助かっているので細かいことは気にしないことにした。

　紙でしっかりきれいにし、リーリーはトイレの水を流した。

　そして洗面台の鏡をちらっと見上げた。個パンダ用のトイレが用意されているのに、洗面台は用意されていないのはいただけない。

　今度店長も務めている忍者コンガに、洗面台を用意してくれとお願いしてみよう。シャオランといっしょにいるのだから、身だしなみはきちんとしないと。

　そんなことを考えながら、ひょいっと人間用の洗面台の上に上がってリーリーが手を洗っていたときだった。

　グラグラグラ、ガガガッ

　コンビニ『シノビマート』が急に揺れだした。

　いやただの揺れじゃない、目の前の壁がガラガラと動き、新たな壁が現れていく。リーリーの目の前にあった洗面台の鏡はさあっと遠ざかっていき、また新たな木造の壁が出現した。

　その光景はまるで、からくり屋敷の中にいるみたいだ。

　そして、リーリーが立っている床も上昇しているように感じるのだ。

　【なに？！どうなってるの、これ！うわーん、シャオラーン！！】

　予想外の事態に驚いたリーリーは、思わずシャオランの名前を呼んでしまう。