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第6話
陽希と理人が、互いに浴室から出て、互いの髪を乾かし、互いにベッドに入るまでの間、たっぷりと、ほぼ沈黙だけの時間を取って、理人は難しい顔で考え込んでいた。
ベッドはキングサイズであるから、二人で眠るのにも充分な広さだ。陽希は、理人の体調が未だ不安定であり、心配だから、自分の客室には戻らなかった。
仰向けになって足も組み、天井に描かれた美しい天使の絵を眺めていると、その横に左下にして横になった理人が、ゆっくりと口を開いた。
「――水樹の過去が本当だとすると、非常に危険ですね」
陽希は寝返りを打って其方を向き、視線を合わせた。
「危険だね」
二人は小さく頷き、それから静かに目を閉じた。この動揺、興奮から、目が冴えるかとも思ったが、
「夢の中で、二人でサントリーニ島に行きましょうね」
と、囁く理人の、オーボエのような声に癒されて、溜まった疲労に手を引かれるように、夢に足を踏み入れて行った。
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