45人が本棚に入れています
本棚に追加
——天帝は混沌から生まれたと伝えられている。
自我が芽生えた天帝は、まず大地を作り、そこに降り立った。草木を生やし、水を生み出し、己そっくりの土形を四体創った。
土形は月日が経つにつれて自我が芽生え、次第に歩くようになる。その様子を見た天帝はさらに土形を増やし、この世を豊かにした。
けれど、数百年が経った時、ある問題が起きる。
土形が増え過ぎたのだ。困り果てた天帝は最初に創った四体にどうすべきか問いかけた。
「もう一つの世界を創造してはどうでしょうか?」
一体目の言葉に天帝は「それでは統治ができぬ」と首を振った。
「我らが天帝様の代わりに統治をいたします」
二体目の提案に天帝は考え込む。
「ご安心を。二つの世界は合わせ鏡。決して切り離すことはできません」
「あなた様はこの世界を治め、我ら四体がもう一つの世界を治めましょう」
残る二体の進言に、天帝は頷いた。
そうして、この世界は二つに分けられることとなり、常世は天帝を頂点に、その補佐として四体の土形——龍帝が君臨した。
多くの土形は現世に送られ、その地で生を全うした後に魂は常世へと招かれ転生までの一時、そこで過ごすという。
最初のコメントを投稿しよう!