赤い髪の娘

3/16
前へ
/82ページ
次へ
 ——天帝は混沌から生まれたと伝えられている。  自我が芽生えた天帝は、まず大地を作り、そこに降り立った。草木を生やし、水を生み出し、己そっくりの土形を四体創った。  土形は月日が経つにつれて自我が芽生え、次第に歩くようになる。その様子を見た天帝はさらに土形を増やし、この世を豊かにした。  けれど、数百年が経った時、ある問題が起きる。  土形が増え過ぎたのだ。困り果てた天帝は最初に創った四体にどうすべきか問いかけた。 「もう一つの世界を創造してはどうでしょうか?」  一体目の言葉に天帝は「それでは統治ができぬ」と首を振った。 「我らが天帝様の代わりに統治をいたします」  二体目の提案に天帝は考え込む。 「ご安心を。二つの世界は合わせ鏡。決して切り離すことはできません」 「あなた様はこの世界を治め、我ら四体がもう一つの世界を治めましょう」  残る二体の進言に、天帝は頷いた。  そうして、この世界は二つに分けられることとなり、常世は天帝を頂点に、その補佐として四体の土形——龍帝が君臨した。  多くの土形は現世に送られ、その地で生を全うした後に魂は常世へと招かれ転生までの一時、そこで過ごすという。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加