3人が本棚に入れています
本棚に追加
「それなら僕、死なないし。深亜がどちらも【選ばない】なんてことして、死んだりもしないし。榛人だって事故に遭わずに済むでしょ?
思いついてみれば、簡単なことじゃん! なんで今まで思いつかなかったんだろ。
よし、今度はそれで行こう!」
「いや、待て……」
榛人の制止も聞かず、玲音が意気込んで懐中時計のネジを巻く。
消え行く身体、薄れ行く記憶……。
時間を遡る現象特有の気持ちの悪さを抱えながら、榛人はつぶやく。
「いや、それは、俺が三人の生活に堪えられなくて……」
自殺するヤツだ、と、訴えた榛人の声は、当然ながら誰も聞く者はなかった。
時計の針は、また逆に回り始め──そして、三人は同じ時間軸を繰り返すのであった。
── END ──
最初のコメントを投稿しよう!