終わりなき関係

1/4
前へ
/18ページ
次へ

終わりなき関係

喪服の人が居並ぶ最後尾につき、記帳を終えた榛人は、前ページにあった名前を見つけ、辺りを見回した。 目的の人物に近づき、告げる。 「……来ていたんだな」 「うん、まぁね。榛人に会いたかったし」 「……気色悪い事を言うな」 心底嫌そうに吐き捨てる榛人にハハッと軽く笑った玲音は、さすがに不謹慎なのをはばかってか、あわてて口を押さえる。 また後でね、と言い残し、玲音はその場から立ち去った。 【何度見ても】慣れることのない遺影の中の深亜を見て、榛人はそっと目を伏せた。 焼香を終え寺の山門を抜けると、ネクタイをくつろげた玲音が片手を上げ近寄ってくる。 「懐中時計、持ってる?」 「ああ。……【今度は】お前の番か?」 「前に深亜が死んじゃった時、榛人が使ってたからね」 「……そうだったな」 記憶をたどりながら、内ポケットから懐中時計を取り出し、玲音に渡す。 あれから何度、時を遡ったのだろうか? 正直、榛人は正確な数を覚えてはいない。 あまりにも何度もやり直しをしすぎて、記憶が戻っても、それが前の人生の選択であったのかその前の前の選択だったのか……解らなくなってきているのだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加