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終わりなき関係
喪服の人が居並ぶ最後尾につき、記帳を終えた榛人は、前ページにあった名前を見つけ、辺りを見回した。
目的の人物に近づき、告げる。
「……来ていたんだな」
「うん、まぁね。榛人に会いたかったし」
「……気色悪い事を言うな」
心底嫌そうに吐き捨てる榛人にハハッと軽く笑った玲音は、さすがに不謹慎なのをはばかってか、あわてて口を押さえる。
また後でね、と言い残し、玲音はその場から立ち去った。
【何度見ても】慣れることのない遺影の中の深亜を見て、榛人はそっと目を伏せた。
焼香を終え寺の山門を抜けると、ネクタイをくつろげた玲音が片手を上げ近寄ってくる。
「懐中時計、持ってる?」
「ああ。……【今度は】お前の番か?」
「前に深亜が死んじゃった時、榛人が使ってたからね」
「……そうだったな」
記憶をたどりながら、内ポケットから懐中時計を取り出し、玲音に渡す。
あれから何度、時を遡ったのだろうか? 正直、榛人は正確な数を覚えてはいない。
あまりにも何度もやり直しをしすぎて、記憶が戻っても、それが前の人生の選択であったのかその前の前の選択だったのか……解らなくなってきているのだ。
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