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「……玲音とは、付き合ってないのか?」
深亜と榛人、そして玲音は、中学高校とクラスは違えど家が近いため、通学が一緒になることが多かった。
思えば、玲音が中学の時にこの街に越してきてからの関係になる。
高校時代、部活動も違いクラスも違っていた榛人とは、通学時に挨拶を交わす程度の稀薄な関係性だった。
しかし、成人式を機に、また三人で一緒に過ごすことが増え始めていた。
主に発起人は玲音で、それが季節によって鍋パーティだったりバーベキューだったりと名目は変わっていたが、要するに三人での飲み会だ。
何度目の三人の集まりか、忘れるほどに回数を重ねた頃。玲音の家から自宅までの、榛人との帰り道のことだった。
「付き合って……ないけど?」
付かず離れずの間柄。友達以上恋人未満な関係性は、傍から見てどう映るのか。
榛人の疑問というよりは確認のような問いかけに、深亜はとまどいつつも逆に訊き返す物言いをした。
そうか、と応じて榛人は黙り込む。
たかだか五分ほどの家路。酒の入った身体が奇妙な高揚感を生んでか、深亜の鼓動が早まった。
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