①本篇あり Ω扱いを受けて捨てられたβの受けを大きな愛で支えようとする年下のαの話

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①本篇あり Ω扱いを受けて捨てられたβの受けを大きな愛で支えようとする年下のαの話

 βなのに雰囲気が儚くて美しく頻繁にΩに間違われていた受。『αの精を受け続けると、βでもΩに身体が変化する』と言われたのを真に受け『頭いいαのいうことだから、きっとそうなんだろう。と、αと付き合いだした。芋虫から蝶の様に変化して愛してくれる彼の番になりたいと本気で願った。  抱かれる時は決まって彼の家に数日留め置かれることが多くて、学校の成績は下がる一方だった。だけど彼はお前は俺の番になるから成績なんて関係ないと、そう言って聞かなかった。学校が休みの日など、朝から晩まで抱き潰されていたこともあった。  αに散々やられて、後ろされながらでしかイケないように躾られた。気がついたら女の子相手はもう駄目になっていた。彼の大きな屋敷の中、長時間ほったらかしにされて、使用人たちに、セフレの一人のように思っていたのだろう。見て見ぬふりで存在自体を無視された。  βだから、うなじ何度も噛まれても傷が痛いだけで意味ない。シャツの襟、夏でも緩められないから変な目で見られるし、Ωと違って中だしされると腹が痛くなる。そうすると『Ωならそんなことにならないのに』って冷たく言われる。だってβだから。しょうがないのだ。腹を抱えて蹲り情けなくてつらかった  それでも好きだから耐えていたが、αは受を捨てて別の人と結婚してしまった。結局受は見た目だけ気に入られたただの玩具だった。飽きて捨てられるまでの期間が少しだけ長かっただけ。数年がたち吹っ切れたはずだった受の元に、その彼によく似た青年がアルバイトとして経営する洋菓子店に入った  忘れ難かった恋の残り火が燻るように、若い彼を意識してしまう。ほどなく彼も自分に好意を抱いていてくれているかもと気が付いた。  ある時彼に問われた。 「似てますか? その人に」  そう見透かされた。  青年は自分を捨てたαと背格好が似てる、低い声も、手の大きさも、節高の長い指も似ている。 「いいんです。俺のどこを気に入ってくれたとしても、それで貴方が俺のことを好きになってくれるなら、妬けるけど、すごく苦しいけど。それでもいい。貴方は本当に、その人のこと、すごく好きだったんですね」 「うん」  一度だけ褥にプレゼントしてくれたフリージアの花。それを店名にしてしまうほどには、αの事を愛していた。青春の全てを捧げたαとの美しい小さな思い出だけを抱いて生きていた受。  青年の優しさに触れて、もう一度一歩踏みだしてみようと歩き出す。 Ω扱いを受けて捨てられたβの受けと、 傷ついた彼に惹かれ、大きな愛で支えようとするαの青年の一晩の恋物語。 ☆本編は「フリージアを嫌わないで」にございます。 https://estar.jp/novels/26104907
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