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②身体の大きな人に引っ付いて寝たい男子高校生の話
受は幼い頃お父さんにひっついて眠っていた。そのせいか、大きくなってからも自分よりガタイがいい人の身体に背後から足を引っかけて眠るのが好き。色々考えて眠れない夜。広い背中のぬくもりを感じ目を閉じると、舌にのせた綿あめみたいにすうっと不安が溶けて心地よく寝れる。
「と、言うわけだから。また一緒に寝てくれ」
「いやだね」
「なんでだよ~」
学生寮。大きな枕を抱えて尋ねた相手は、同級生で一番ガタイがいい。同級生のバレー部員。バド部の受とは体育館の覇権を争う間柄。にべもなく断られて不満顔でジーっと見つめるとバスケ部君もなんだかむうっとしている。
「お前こないだ、バスケ部のやつんとこいって、寝てただろ。その前は柔道部。その前は二組の」
「あいつはでかいけど、ブラバンだよ。やっぱ抱き着くとひょろい」
「……そいつらんとこいけよ」
「えーやだよ。お前が断ったから色々回ってきたけど、俺やっぱお前がいいんだ」
「おっ、俺がいいのか」
「ほら」
バレー部君の背中に回り込んでぎゅーっと抱き着く。バレー部君はとっさに「はうっ」と雄たけびを上げかけ顔を真っ赤にした。
「この感じ、適度にマッチョだった頃の父さんの背中を思い出す。安心感半端ない。明日の試合きっと勝てる」
バド部くんの手が胸元にまわってさわさわとされたら
風呂上がりの石鹸の香りが漂ってきてバレー部攻め君落ち着かない気分になる。前回もそうだ。夜中に寝返りを打った後、バド部君を抱きしめたらいい香りがしてきて、腰に絡みつくすべすべの脚も、時折光るスマホに照らされた寝顔の可愛さも、彼に片思いをしているバレー部君には刺激が強すぎた。
(くっそ、こんなん。絶対寝れなくなる。明日は遠征試合があるんだよ)
バレー部君は心を鬼にして乱暴にその手を振り払った。
「バスケ部んとこでもいけ」
「えー。あいつちょっと身体でかすぎなんだよね。それにさあ『次は俺のユニフォーム一枚でこの香水つけて寝てくれない?』とか色々注文が……」
「おい、それ、本当に妄想で止まるのか?」
「じゃあいいや。面倒だけど今日は明日の試合に備えてぐっすり眠りたかったから、バスケ部んとこいく」
バレー部君に背を向けて廊下を戻ろうとするバド部君の手を、バレー部君は思わず掴んでしまった。その必死な仕草に脈ありとバド部君は内心ほくそ笑む
「ちょっとまて。やっぱ俺んとこで寝ろ」
振り返りざま、バド部君は少しあざといぐらいに大きな目をうるうるっとさせてバレー部君を見上げる。
「いいの?」
(やったあ💛 やっぱこいつ優しい)
「はあ、仕方ないだろ。俺も明日試合だ。早く寝るぞ」
「はーい」
とか言いながら意識しあってたまにお互いの心音のドキドキも聞いた。空が白むまで眠れなかった。
もちろん二人とも遠征の移動中はずっと夢の中。
寝言で互いの名前を切ない声で呼んでいるところを、チームメイトの動画で撮られてた💛
その後二人は周りにそれをいじられつつも、なんかまんざらでもない気分になった。試合頑張って満身創痍で戻ってきて、今夜もあいつの部屋に「行くかな」「来るかな」とうっとり考える。
学生カプ同士の可愛い恋愛話でした~
爽やかキュンなブロマンスどまりのお話も書いてみたいなあって
思います。
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