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しかし、ある金曜の夜。
フォックスから茉右子に暗い声で電話がかかってきた。彼は普段、SNSのメッセージで連絡をくれるので珍しい。
内容は「自分は交換留学生で数か月後に、母国アイルランドに戻らないといけない」ということ。
加えて「ダミアンが生徒と外食をしているのを発見されて、室長から謹慎処分が下った。だから自分も茉右子の受験が終わるまで、外では会えない」ということだった。
体よく振られたのだと思った茉右子は、それから来る彼のメッセージになおざりの返事をするようになった。
彼からの連絡も途切れ途切れになり、いずれ無くなるだろう。
茉右子の予想を裏切って、それは一日として止むことはなかった。茉右子の受験が終わった後、フォックスから『初めてデートをした場所に来て欲しい』とメッセージがきた。
――彼の気持ちを面と向かって聞かなければならない。茉右子は了解した。
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