宣告

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 「折り曲げる?」  意味が理解できなかった。  「例えば、貴方が一日逆行時空へ行ったとします。戻ったら、貴方の中では翌日ですけど、こちらでは前日です。  つまり、この時空に貴方が二人存在することになります。  一人多くなる……それは、この時空にとって異常事態です。  結果は誰にも分かりませんけど、時空を危険に招く可能性が大きいでしょう」  寺竹管理官の言葉に反論できなかった。  逆行する時空に数分滞在して戻ったら……自分は数分二人になる。  同一人物が同一時刻に存在する。あり得ない。  「無理……ですか」  絞るように出した言葉はなぜか否定された。  「行くことは可能です。  時空を渡ろうとする者の取締りも、管理局の業務ですから」
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