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「自力で移動できるんですか?」
隣の並行時空-パラレル1へは、球体の構造物で向かった。なので、技術の助けなしで時空を渡れるとは思わなかった。
「ええ。私含めて管理官は全員能力者です。
向こうの未来に干渉することは、こちらの過去を改変することになります。
存在が重複する以上の問題です。
干渉が歴史の事実なら大丈夫ですけど」
不思議な言葉に首を傾げたが、彼女は微笑むだけだ。
「これ以上知る必要はないです。
そして、願いを叶えれば家族や友人とは二度と会えません。
逆行時空へ行くことに、それだけの価値があるかどうか考えてください」
何も返せない俺に、寺竹管理官は更に残酷なことを告げた。
「仮に貴方がその犠牲を払ったとして……相手が受け入れてくれるとは限りません。
見ているだけだから続いたのではないですか?」
黙って帰るしかなかった。
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