逡巡

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逡巡

 部屋に入ってベッドに寝転がると、寺竹管理官の言葉が何度も繰り返し心に浮かぶ。  二度と会えなくなる……家族とも。友人とも。  正直、そこまで深刻な事態になるとは想定していなかった。そして、彼女の気持ちも……  楽天的な考えで実行することは不可能。  迷惑と拒絶されても帰ることは(かな)わない。  さすがに、時空を移動した人間を放置するとは思えないから、ある程度の安全は確保されるはず。  監視対象としてだが……  常識的に考えれば、彼女と視線を交わせる時間を大切にして、思い出の一(ページ)にするべきだ。  そう思うのに、心のざわめきが(おさ)まらない。
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