69人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
逡巡
部屋に入ってベッドに寝転がると、寺竹管理官の言葉が何度も繰り返し心に浮かぶ。
二度と会えなくなる……家族とも。友人とも。
正直、そこまで深刻な事態になるとは想定していなかった。そして、彼女の気持ちも……
楽天的な考えで実行することは不可能。
迷惑と拒絶されても帰ることは叶わない。
さすがに、時空を移動した人間を放置するとは思えないから、ある程度の安全は確保されるはず。
監視対象としてだが……
常識的に考えれば、彼女と視線を交わせる時間を大切にして、思い出の一頁にするべきだ。
そう思うのに、心のざわめきが収まらない。
最初のコメントを投稿しよう!