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「はい。
それで、俺はこれからどうすればいいんですか?」
逆行時空に行きますと、会社や親には言えないから、失踪して大丈夫か不安はある。
小さく溜息をついて彼女は返してきた。
「不審を抱かれないために、家出という形で向かってもらいます。
悩んでるという仄めかしができればいいですけど、そこまでは求めません。
失踪届が出されても、こちらで処理いたしますから大丈夫です。
……二度と帰れないということに対する覚悟は、本当にあるんですね?」
頷いた。
熱が出そうなくらい悩んだ結果の決断だ。後悔しても帰りたいとは言わない。
真っ直ぐに寺竹管理官を見ると、彼女は笑みを返してきた。
「分かりました。
一か月後、こちらに来てください。受け入れる側の準備が必要ですから」
平凡な毎日だったのに、監視される人生を選ぶことになってしまった。さすがに、閉じ込められないだろうが。
それよりも、彼女が俺を受け入れてくれるか……
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