出会い

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 「面倒だな……」  溜息と共に愚痴が出る。  普段出勤で乗る列車は一時間後だが、会議の準備当番が回ってきたのだ。  会議は水曜日の朝。  準備のために乗らないとならないのは、時空絶景が(あらわ)れる時間の列車だ。  混雑する列車に乗る……もう一度溜息が出る。  乗り込むと混雑していた。絶景を見たくて乗る客はいるだろう。  それでも、手すりに(つか)まれば大丈夫な程度でもある。  いつもの癖で、進行方向左側の手すりを掴む。同じ側に乗客が多い。不思議に思ったが、すぐに気づいた。  時空絶景が見える方向だ。  失敗したと思ったが、そのまま手すりに掴まり続けた。  この時空にいるから目撃できる奇観を、一度くらい見てもいいだろう。
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