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彼女との逢瀬が始まって一年が過ぎた頃、異変に気づいた。
時空接触の時の反応が弱くなってきたのだ。
小さく笑みを浮かべる彼女が、消える頃には戸惑うような視線を向けてくる。
(どうして……)
半月ほど考えた俺は、残酷な事実に気づいて思わず呻いた。
俺の未来は、彼女の過去になる。
親しみを感じるほど、相手の反応が薄くなって当然。
身体に震えが走る。
初めて彼女を見た日をきちんと憶えている。会社の会議の当番日。
つまり、彼女は、あの日を最後に俺を見ることはない。
絶望を覚えた。
同じことが違う形で俺にも訪れる。遠くない未来に。
回避したいと思った俺は、解決してくれるはずの施設を訪れた。
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