どっちでもよくない！

第３章 どうしてこうなった

　和泉さんが指摘したのは、人物と背景のメリハリについてで、当初は『二人の空』をイメージしていたから、それに寄せるなら背景を少しぼかし気味にしたほうがいいんじゃないか、というものだった。

　確かに『二人の空』とは見た目の印象は違うのだが、悠人はあくまでも「こんな感じ」としか思っていなかったので、そこまで忠実に近づける必要はないと思っていた。

　それに、今回このイラストレーターさんにお願いすることにしたのは、人物だけでなく背景の川や植物などの自然を綺麗に描いてくれそうだと思ったからだ。
　その思惑は見事に的中し、人物に近いところの草木はすごく丁寧に描かれていたし、背景の緑も川の光り具合も見事だった。

　だから、その点に関してはこのままでいいと悠人が言えば、和泉さんも「当初の設定の季節や時間帯を考えたら、このくらいのほうがバランスが取れていていいと思います」と、すんなりと自身の意見を言ってくれた。

　他にも細々とした点の確認をされたが、そのどれもが悠人にとっては気にならず、このままでいいということになった。

　ただ、微調整ができるならばと、悠人から新たに別の指摘を一つしてみることにした。