第3章 どうしてこうなった

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「あの、光の加減についてなんですけど、ちょっと人物の右半身が暗すぎませんかね?」  和泉さんは人物と背景のバランスを気にしていたが、悠人は人物の右半身と左半身の明るさの違いに引っかかった。  ちょっと気になる、という程度だが、日が当たっていない部分が少し暗すぎるのではないかと思った。 『それもメリハリの一部だとは思いますが、気になるようでしたら全体的に気持ち明るめにする、という感じでしょうかね。こちら、修正を依頼しますか?』  えらくあっさりと言ってくれたが、それは可能なのだろうか。  イラストレーターさんは完成のつもりで描き上げてくれたんだろうし、強いてあげればのつもりだったから、そこまでしてもらわなくてもいいのでは、と思ってしまう。 「それはお願いできるんですか? それでスケジュール的に遅れることはないですか?」 『変化量が小さいので、問題ないですよ。ここでもう一回微調整を入れることを想定してスケジュールを組んでますので、大丈夫です!』  どうやら和泉さんは悠人の傾向を正確に把握しているらしく、すでに先手を打たれていたようだ。  このあたりはやはり、経験がなせる業なのだろう。
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