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「じゃあ、その点だけお願いします。あ、でも、紙に印刷されたものを見てからのほうがいいですよね?」
『そうですね。おそらく明日届くと思いますけど、今週末までにご連絡いただければ大丈夫なので、ゆっくりご検討ください』
今日は月曜日だから、三日くらいの猶予はあるのか。それなら焦ることはない。
第一、このまま本になってもいいと思えるくらい悠人は満足しているから、これでだいぶ気が楽になったというものだ。
『じゃあ、カバーイラストについてはそれでお願いします。それで、もう一つあるんですけど』
話がスムーズに進んだからか、和泉さんの口調も軽やかだ。
その流れに乗って、悠人も軽い気持ちで次を促す。
『初校ゲラが届きましたので、これも近日中にお届けしますね』
ずいぶんと軽い調子で大きな話を繰り出すものだ。
カバーイラストはもちろん大事だが、二人からしたらゲラのほうがよっぽど重要なんじゃないのか。
「あ、そうなんですね。えっと、これは概ね予定通りって感じですか?」
呆気にとられつつ、悠人はこう返した。
表情をうまく保てなかった悠人は、このときばかりは対面じゃなくてよかったと思ってしまった。
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