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その多くは「どっちでもよくない?」と思えるものばかりで、悠人が「スマホの画面をつける」と書いたところに「オンにする」と書き込まれているなどがいい例だ。
悠人からすれば「オンにする」なんて普段使わないから、修正せずにそのままでいこうと思っているが、何か特別な理由でもあるのではないかと思ってしまう。
それに、すぐ近くにある「スマホを消す」には何のコメントもないのだ。
こっちは「オフにする」にしないのだろうか。
こういう感じで謎の修正案がいくつもあり、しかも場所によって指摘したりしなかったりするところもあり、悠人はとにかく困惑するばかりだった。
校正者も人間だから、完璧にミスを指摘することはできないだろう。
その理解はできるから、誤字を見逃してしまうといった現象は受け入れられる。
しかし、自身の手で書き入れたものに関しては、ある程度の責任感は持ってほしいものだ。
せめて意図が伝わるように工夫はしてもらいたい。
これが校正者の、というか出版業界の常識なのだとしたら、なんて人に優しくない世界なのだろう。
和泉さんは悠人のこの気持ちをどう受け止めてくれるのだろう。
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