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ゲラ作成前の和泉さんの原稿整理では、和泉さんの所感とともに修正案の根拠を明確に提示してもらえたから、特に違和感なく修正作業ができた。
和泉さんは「この書き方だと読者にこういった誤解を与えてしまいかねないので、こう変えましょう」とか「この二文は同じようなことを言っているので、こっちは取ったほうがいいと思います」といった書き込みを加えてくれていた。
これが当たり前だと思ってしまったのがよくなかったのかもしれない。
しかし、今回の校正に関しては、まず校正者の顔も名前もわからないし、どんな思いでこの書き込みをしたのか聞くこともできないのである。
和泉さんを経由すれば質問はできるのだろうが、そんな煩わしい手順を踏まないと確認ができないとなると、途方もない作業に思えてくる。
さすがに自分自身の本だから、うんざりするということはない。
しかし、この苦労はしなくてもいいものなんじゃないかと思ってしまう。
それなりに時間をかけて全文を読み終えた悠人は、うなだれたくなる気持ちを抑えて和泉さんにメールを送ることにした。
もちろん和泉さんに文句を言いたいのではなく、純粋に今の気持ちを伝えてフォローをしてもらいたいというのが主な理由だ。
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