第4章 少なくとも二人三脚と思えるくらいには

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 メール作成画面を開くと、今までにないくらいスムーズに文章を打ち込むことができた。  とめどなく思いがあふれてくる感じで、途中で何度か文面に問題はないかを確認するようにした。  大丈夫、特に怒っているようには見えないはず。  悠人は原稿を読みながら思ったことを、率直に言葉にして和泉さんに伝えた。  具体的にどう直すかは置いといて、そもそもの部分で気になることと、例を挙げて「これはどういうことか」という質問をする形にした。  長いメールになってしまったから、和泉さんからの返信が来るのにもある程度の時間がかかった。  それでも、和泉さんの言葉に触れて少しだけ落ち着くことができた。  和泉さんは最初に、「煩わしい思いをさせてしまって申し訳ない」と書いてくれた。  別に和泉さんが謝ることではないし、悠人が謝らせたようなものだから心苦しいところもあるにはあったが、それでも少し安心はした。  そこから続けて、和泉さんは悠人の質問にひとつひとつ丁寧に答えてくれた。  印があるのにコメントがない部分に関しては、校正者のメモだろうから特に書き込みがなければ無視してほしい、とのことだった。  そんなの事前に確認して消しておいてくれよと思ったが、そこまで求めてはいけないのかとも思い、なんとか自分を抑えた。
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