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「ねえ、あなた?」
オムライスを半分ほど食べ終わった頃、妻は急に口を開いた。さっきまで夢中で食べていたオムライスはもうほとんどなくなっている。
「どうかしたの?」
「さっき、話しを聞いていて思ったのだけれど…。そのあなたの上司さんの不倫相手、結構身近な方のはずよ」
「え」
「不倫は世間からは責められるものでしょ? 一般的には。だったら、バレたら困るしリスクもある。不倫相手には信頼を求めるわ。なら、知り合って間もない人よりも親密な身近な人の方が安心だと思うわ」
自分では浮かばなかったであろう考えに驚愕した。七瀬と同じ分野を選んだ妻も心理学観点から見た意見を聞いて、思わず椅子から立ち上がり妻の手を取った。
「…流石だよ‼ 愛梨‼」
「あなたってば。そんなに?」
「ああ。明日、七瀬と夕風に急いで伝える!」
「なら、よろしく伝えておいてちょうだい。懐かしい旧友に」
最後の一口を食べ、彼女はそう言い笑った。
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