復讐劇を

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「え―――?」  プロジェクトに映し出されたスライドを見て、その場にいた人々は氷づいた。中には持っていたペンを落としてしまった者もいるほど。  それは当然のこと。何故なら現在、スライドに載っているのは課長と見知らぬ男性が仲睦まじく会話をしている様子であった。 「…これは、何だ…?」  紺色のスーツに身を包んだ本部長は眉間にしわを寄せ、課長に問い詰める。  課長は震えながら必死に首を振っていた。 「本部長…。ち、違うんです‼ これは…あの…」 「どういうことだ!!? この写真の方は…RANグループの代表取締役じゃないか‼」  バンっ、と机を叩きつけ立ち上がり大声が荒げる。  それと同時に机の上の資料が一瞬、浮いた。ひらひらと舞い落ちる資料はまるで、枯れて果てて散る落ち葉のように夕風には見えた。  ほんと一瞬だけで美しく色づき、気づけば朽ちてしまうあの落ち葉のように、課長の出来事も終わりを告げてしまうのかと。 「七瀬っ!!!! 何をするの!!? いい加減にしなさいっ!!!!」  すると、課長の怒りは本部長でなく七瀬へと向けられた。だが、そんなことで動揺するはずもなくただ冷淡に課長に向ける眼差しに思わず課長も黙り込む。 「…ああ、なんてことなんだ…」  落胆する本部長は頭を抱え、小さな声でこう呟いた。 「この話、続けがあるのならば続けてくれたまえ」 「はい。承知致しました」  七瀬は頷き、またセンターキーをタップした。  
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