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「本部長が仰った通り、こちらはファッション誌を取り扱っている〝RANグループ〟の部長紫葉さんです。先日、私は帰宅途中に課長が紫葉さんと並んで歩いているのを目撃しました」
月夜に下を歩く二人、楽しげに会話を交わす二人…様々な視点・場所で撮られた証拠写真。もう何も口出しすることは無理だと思ったが、それでもまだ課長は声を荒げる。
「盗撮だわっ‼ 何を言い出すの!!?」
「以前、課長はご自身でこんなことを仰られましたよね? 〝何かを言うときには証拠を用意しろ。じゃないと、証拠不足で負ける〟と」
「夕風っ!!!!」
「私達の間違いでしたか? 確かに広告部でプロジェクトについて説明を受けたときの資料にも記載されていましたが…」
七瀬が会議に参加した人々にその資料のコピーを配布し、
「……七瀬っ!!!!」
「そういうことか…。課長…いや咲良」
「違います‼ 本部長っ‼ 私を信じてくれないんですかっ!!?」
「信じてくれない? はっ、馬鹿馬鹿しい。いつもいつも、嘘で取り繕っている君を信じろと? いい加減にしてくれ…」
頭を抱え本部長は深いため息をつく。
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