回想(二)

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回想(二)

 27歳の初夏、当時勤めていたIT系の会社の営業部に新人として入ってきた。一ヶ月のOJTを終えて入ってきた柏木梨花は溌剌としながらも初々しい可愛らしい新入社員だった。当時、営業一課長の指示で同一係の主任だった私が教育係を担当することになった。  ソフトウェア開発をメインにホームページ製作や、データの集計などを請負う会社で、営業マンとプランナーがコンビで動き、SEが作業をする一般的なスタイルの会社だ。梨花は暫くの間、新人プランナーとして私とコンビを組むことになった。毎週三日程度は、一緒に営業に回り、社内で企画書や見積りも一緒に作った。  当時は、中々の激務で会社に泊まりこんで製作することも多かった。あの日もそうだった。梨花の誕生日だと数日前から聞いていたのに、早く自宅に返してやることも出来ず。作業が終わったのが、土曜日の明け方だった。定時の退社時にケーキをプレゼントしてやろうと、会社の冷蔵庫に入れていた。作業が終わった明け方に「ちょっと待ってろ!」眠い目を擦りながらきょとんと椅子に座る梨花にケーキを持ってきた。「昨日、誕生日だろ!本当は夕方に渡したかったんだけどな。」「えー、嬉しい!コーヒー淹れますから、一緒に食べませんか?」「持って帰って彼氏と食べたら?」「実は先週別れちゃったんですぅ。一人で食べるのも何だし。」「じゃ、今から食うか?腹も減ったし!」小さなバースデーケーキを小さなデザートフォークでつつき合う。「おっ!苺!」「主任さっき2個食べましたよー!それ私のー!」「そうか、じゃ、あーん!」フォークに挿した苺を梨花の目の前に持っていき食べようとすると引っ込める。「もー、主任ひどーい!パワハラですぅ!」必死になる顔が素晴らしく可愛い。「じゃ、目つむって!」素直に応じる梨花。「はい!」と鼻に付けた。「意地悪っ!」下から魚のように苺に喰い付いた。  この日を境に梨花との距離がどんどん近付いていった。「主任、お休みの日って何してるんですかぁ?」「んー、天気良けりゃ釣り。悪けりゃ、呑んでる。」「明日は?」「雨だから、家かな?」「舞台観に行く予定だったんですけど、友達が熱出しちゃって。」「俺でいいの?他の友達は?」「私、こっちに出てきたばっかりで…。」「じゃ、行こうか!」「はい!ありがとうございます!」深々と頭を下げる梨花が可愛い。表向きは社内恋愛禁止だが、実は多い。好き合うのは仕方ないとして、上司も見ないふりをしている。梨花ほど気立ての良い美人なら、沢山の若い男子社員が狙っているはずだが、私が常に一緒に居るからチャンスが少ないのだろう。  待ち合わせ場所に来た梨花は黒いノースリーブのタイトなミニワンピースで、会社のスーツ姿よりも遥かに綺麗だった。目のあたりでカットされた前髪、ショートボブで丸顔だが小顔で着物が良く似合いそうな和風美人だ。腰の位置が高く脚が長い。「えっと、ほんとに柏木さん?」「えっ?」「いや、会社で見るより美人すぎちゃって!びっくりしたよ!」「もー、褒めすぎですぅ!」バシっと二の腕が叩かれた。「いったぁー!折れたー!」「きゃははは、主任面白すぎー!」  舞台とかはあまり良くわからなかったが、感動して涙を浮かべている梨花の横顔を見つめているのは楽しかった。泣きじゃくり過ぎて、普通の照明に戻った時は、周囲の注目を集めてさすがに恥ずかしかった。 「ごめんなさい!もう、何か世界に入っちゃって…。すいません!」梨花に段々と魅かれていく、泣いてる女にそそられる私は変わっているのだろうか?  二回目のデートは、私の誕生日に梨花がサプライズで用意してくれた。彼女の自宅での手料理だった。大好きなビーフシチューとサラダと手作りのパン。部屋にも飾り付けがしてあり、用意されたバースデーケーキに灯ったローソクを吹き消した。  その夜、初めて梨花を抱いた。愛撫の途中で興奮して、思わず乳首を噛んでしまった。腕の中で彼女の身体がビクビクっと震えた。「ごめん、つい…。」「いいの、もっと噛んで!」大丈夫か確認しながら乳首や乳房、腰骨を噛んだ。腰骨を噛んだ時は、軽くイッていたように思える。早く入れたい気持ちを抑えて、全身くまなく産毛を舐めるように舌を這わしていく。うつ伏せにして、背中から尻の谷間に、アナルにも舌を這わせる。「や、そこ恥ずかしい!」拡げて舐めても抵抗はしない。尻がビクビクと震えアナルが収縮している。「アッ、アッ、イヤ。」アナルが感じるようで軽く舌を差し込むと「やだー、汚いよー!」慌てて尻を横に躱した。「ははは、梨花のだったら平気だ。」梨花が仰向けになった。  再度乳房から乳輪、乳首へと焦らしながら愛撫する。「き、気持ちいい。」少ない陰毛を掻き分け陰部に達する頃には、ヴァギナから白濁した液が溢れていた。内腿の付け根から大陰唇へ、小陰唇との溝をほじるように舌先で舐めあげていく。ラビアのひだを唇で軽く挟み、表皮から少しだけ顔を出した小豆大のクリトリスの周囲を円を描くように舌先でなぞっていく。「ァァァ、アッ、アッ、も、もう!」クリトリスにギリギリ触れない舌先に梨花が焦れていく。「お、お願い。」「どうしたの?」「先を舐めて!」「どこ?ちゃんと言わないと。」「ク…クリ…。」「ちゃんと言わないとやめちゃうよ!」「ク…クリトリス舐めて!」軽く吸いながら、左右に舌先をグラインドさせる。 「ヒー、アッアッアアアー!」腰が何度も跳ね上がった。再びクリトリスに小筆で文字を描くように柔らかく触れる。「イッたばかりだから、ダメ〜!感じすぎるー!」少し間を置いて、再び舌先をグラインドさせるとあっという間に登りつめていく。  ここまで、執拗に焦らしたり、言葉責めをするとプライドの高い女だと怒ってしまうが、間違いない梨花はマゾヒストだ。  確信を得た私は、サディストへと変貌していく。「さぁ、次はご奉仕してごらん。」「はい。」普段の少し勝ち気な様相は消えて淫蕩なマゾの瞳に変わっている。愛撫やフェラチオに関して言えば、まだまだ稚拙なレベルで、教育が必要だ。この従順さ、放っておけば一時間でも二時間でも奉仕し続けるだろう。 「お尻をこっちに向けて!」シックスナインの姿勢になる。白濁した愛液で濡れそぼっている。暫く見ていると数滴が糸を引いて首に落ちてきた。「あんまり見られると…恥ずかしい。」「どうして欲しいの?」「舐めてください。」「イッても口離しちゃダメだよ!」熱いヴァギナに人差し指を入れ、中指をアナルに触れさせながらクリトリスを縦に舐め上げる。「ング、ング、ンーンー!」顔の上で腰が何度も跳ねて、顔に愛液がポタポタと落ちてきた。 「良く出来たね?ご褒美だ!」コンドームを渡す。「つけて!」「ごめんなさい。まだ、つけたことなくて。」コンドームを亀頭に乗せて先を口に含みながら、根元まで伸ばして装着するやり方を教える。「こ、これで、いいですか?」「よく出来た!偉いぞ!」梨花を仰向けに寝かせて、ゆっくりとヴァギナに挿入する。まずは亀頭だけ入れて、小刻みにゆっくりと動く、乳首を軽く吸ったり乳頭を舐め回す。半分ほど挿入して、乳首を軽く噛む。マゾヒストなら軽い痛みは、快感の甘い疼きへと変わる。  唇を合わせ舌を吸いながらジワリと根元まで挿入する。暫く止めると、何とそれだけで昇りつめた。 「間違いない完璧なマゾヒストだ。」腕枕をしながら話す。「痛くなかった?」「大丈夫です。私、多分、人より欲求強いのかな?」「SかMかで、言えばMだよね。虐められるの好きでしょ?」「はい。」「そういうプレイしたことあるの?」「え、ちょっとだけ…。目隠しとか手縛られたり…。」具体的に聞いてみるが、SMにはほど遠い、お遊び程度のものだった。 「拓哉さんはあるの?」いつの間にか、主任から拓哉さんに格上げされていた。「引かないで聞いてくれる?強要したりしないから。」学生時代に付きあった主婦のことを出来るだけ細かく話した。「色々、やってみたいことあるけど…。」普段の瞳にもどった梨花がじっと見つめている。「色々?」「うん、所謂SMプレイ。興味ある?」気持ちを素直に引き出せるかどうかが難しい。「うん、ちょっと怖いかな。」「ダメ?そっか…。」残念そうに返す。「興味は、あります。ちょっとずつなら…。」  次の休みに自宅でSM雑誌やSMビデオを一緒に見てみようという話になった。
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