雛雛祭り(一)

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雛雛祭り(一)

 沙莉が引越して、私は再び独りになった。蜜月期はもうこれで終わったのだ。これでいい、これで…。淋しい気持ちをなだめるように自分に繰り返し言い聞かせる。    沙莉からは毎日のようにLINUが来る。日々の仕事の報告や写真を送って来る。あれだけの美貌だ。周りの男達も狙ってくるだろう。そう思うと落ち着かない。ドラマを観て欲しいというが、キスシーンやベッドシーンがあるとわかっているから、怖くて観れない。それでも、一応気になって録画はしている。  今夜も沙莉が出演しているバラエティ番組を観ている。今では「令和のアフロディーテ」と呼ばれて、人気も高まっているようだ。  パーソナリティを勤めるお笑い芸人から、「沙莉さん、絶対に恋人おるでしょー!」「いませんよぉー!」しつこく食い下がる芸人を何とか躱している。「じゃ、ここだけの話。好きな人は?」「居ます。でも、中々会えない人なので…。」「ど、どんな人?有名人?」「それは言えません!憧れの人です!」  バラエティ番組で答えたことがネットニュースや他のバラエティ番組まで騒がせる。沙莉のことを思うと心が痛い。 「中山沙莉さん、こちらに居ますよね?」バイクのヘルメットを片手に持った男が尋ねて来た。先月位からやたらとバイクが走ってる。多分、こいつだ。 「今は居ませんよ!以前は、住み込みでアルバイトして貰ってましたけど。」パパラッチは過去に対しては大きなネタでしか興味が無い。  私を足元から顔まで見て、「今はどちらに?」「さあ?東京に行きたいって言ってましたね。」「失礼ですが?彼女との関係は?」「ああ、留学している娘が彼女に懐いてね。彼女の父親とは釣り場で仲良くなって、釣り友達だったんだ。」  パパラッチは思ったよりもあっさりと帰っていった。まさか、こんな親父と肉体関係以上のことがあるとは思わないだろう。  数日後、今度は沙莉のファンだと言う女性二人が尋ねて来た。パパラッチと同じように説明して帰ってもらった。もちろん沙莉とは緊急時に備え口裏を合わせているが、不安感は拭えない。 「もしもし、御主人様!」久しぶりに美羽が電話をかけて来た。もう、そろそろ引越して沙莉と同居しているはずだ。「お姉ちゃんと一緒にそちらに行ってもいいですか?」「パパラッチらしいのが来たり、沙莉のファンが尋ねて来たりしてるから、ちょっと難しいな。」  念の為、ホテルを取って部屋で会うことにした。コンコン♪そっと部屋のドアを開けて、周囲を確認してから入れた。沙莉に続いて美羽が入る。  我慢しきれなかったのか、瞳を潤ませた沙莉が飛びついて来た。美羽の前だというのに、抱きついて唇を重ねてくる。 「おいおい、美羽もいるんだから!」「だって…。」モジモジしている。「御主人様、許してあげて!お姉ちゃん、御主人様に会いたくて、毎日毎日写真見てるんだから。」  濡れた瞳が愛おしい。この二週間は永遠かと思うほど長く感じた。 「えいっ!」美羽が後ろから沙莉を突き飛ばした。私も勢いに圧されて、沙莉を乗せてベッドに転がった。 「じゃ、私帰るから!御主人様、お姉ちゃんを宜しくね!」美羽はドアを締めて帰ってしまった。  二週間会わなかっただけで何とも照れ臭い。「朝まで一緒に居ていいですか?」「もちろんだ!でも、気をつけて!」「早朝に美羽が迎えに来てくれるので大丈夫です!」  朝まで沙莉と二人きりの時間を楽しんだ。 二週間の間に更に綺麗になっている気がする。 「ねぇ、御主人様。」「んっ?」「あの…ご調教…。」「そうだな。貸別荘とか人里離れたところのほうがいいな。車でバラバラに行けばわからないだろう。」「私、免許あるけどペーパーです。」「美羽は?」「美羽は持ってますけど…。美羽の前でのご調教は恥ずかしい。」 「美羽もちょっと可愛そうかな?美羽も一緒に調教するか?」「えーっ?」「嫌か?」「いえ、美羽ならきっと大丈夫です!」何だか嬉しそうだ。 「でも、美羽が何て言うか…。」   翌朝、迎えに来た美羽に調教のことを話してみる。「えっ、私もー?やったぁ~!」「縛られたり、色々されちゃうんだよ。バイブとかアナルとか、痛いのも。大丈夫?」沙莉が心配そうに聞く。「うん、大丈夫!興味あるし、お姉ちゃんと一緒なら!」  昼過ぎに予約しておいた一棟貸しの宿に着いた。昔の民家の家屋をリノベーションしたもので、太い梁や柱がある。SMプレイには持って来いの雰囲気からここを選んだ。  母屋から廊下を通って風呂場があり、風呂場からドアを開けると檜で作られた露天風呂がある。  山奥の一軒家みたいで周囲には何も無い。  SM道具は全て持って来た。本格的な二人同時調教は初めてで、調教プランが練れてないが時間はたっぷりある。流れに任せて作っていけばいい。  縛りに使えそうな柱と梁をチェックする。本当は麻縄で縛って、吊りなどもしたいが、沙莉の肌を傷つけないようにソフトロープだ。吊るには強度もやや不安だ。  一時間後、二人が到着した。「遅くなってごめんなさい!」食材と飲み物、酒を冷蔵庫に入れる。タッパーが多い。たくさん料理を仕込んできたみたいだ。  調教前に簡単に美羽のカウンセリングを行う。清楚な美人だが、真面目でウブなイメージだ。  セックスの経験は五人、初体験は高一と…。メモに書いていく。見た目と違って、積極的なタイプのようだ。茶を淹れて隣に座った沙莉が覗き込む。「ちょっと美羽、経験多くない?」「普通だよ!お姉ちゃんが少な過ぎ!」  SM的なプレイは、目隠しや拘束は何度もある。縛られたのは前回の温泉旅行が初めて…と。ローターやバイブは何度も経験あり。  沙莉は、不思議そうに私のメモと美羽の顔を交互に見ている。  アナルプレイは?アナルバイブにローター、アナルビーズはあり…と。アナルセックスは一回してみたけど痛かった。 「ちょっと美羽!アナルまでしてたの?」「うん、前彼がしたいって言ってたから…。」素のままに答える美羽に何故か沙莉のほうが顔を赤くしている。    ここからが問題だ。沙莉と交わした奴隷誓約書や覚書には、第三者を介入させないことにしてある。また、私と美羽の接触について沙莉がどこまで許せるかにもよる。  沙莉に任せることにした。「ズバリ聞くけど、美羽は御主人様とセックスしたい?」「うーん、したくなっちゃうかもしれない。でも、お姉ちゃん、嫌でしょ!」「それは…。嫌かな。」  二人の協議の上、セックス以外は問題無いということになった。  簡単に昼食を摂って15時から調教することにした。 「お姉ちゃん、片付けは私がするから…。御主人様にもっと甘えたら?」「でも…。」「いいから!中々、会えないんでしょ!」  ソファーで寝転がり私の膝に頭を乗せた。沙莉の頭を撫ぜる。私の腹に顔を着けたまま、いつの間にか寝息を立てている。  右側に座った美羽も沙莉の頭を優しく撫ぜる。「お姉ちゃん、ロケに行く前にお料理の仕込みとかしてたから…。」「そうだな、少し寝かせてやろう。」 「あっ、ごめんなさい!私ウトウトしちゃって…。」「さぁ、二人ともシャワー浴びて来なさい。」  沙莉が用意したのか、美羽も綺麗なレースの下着を来て出てきた。沙莉は赤の上下に白いガーターベルト。美羽は青の上下に黒いガーターベルト。二人とも恥ずかしそうだ。 「美羽、間違ってるわよ!ほらガーターベルトが上になってる。」「お姉ちゃん、写真だったらこっち…。」「あれは、カタログ用。正確にはショーツが最後よ!」「お姉ちゃん、ありがとう。」沙莉が手早く直していく。  美しい女性二人が美しいランジェリーを着て並ぶ、神々しくて何時までも眺めていたくなる。 「調教を始める。」沙莉が奴隷の挨拶を教える。「御主人様、ご調教宜しくお願いします。」二人が膝まづいて左右の足の甲へ口付ける。沙莉は赤い首輪を着け、美羽には即席の縄の首輪を着けた。  まずは、菱縄に縛ることにしたが、美羽の教育も兼ねて、奴隷同士で縛らせることにした。「沙莉、美羽に菱縄縛り。美羽も沙莉に習って沙莉に菱縄縛り。股も結び瘤はアナルだけにしなさい。」「はい!御主人様!」二人揃っての返事が嬉しいが顔に出してはいけない。  沙莉が手早く美羽に赤いソフトロープをかけていく。二つ折りにした縄の折り返し部分の輪を頭から通す。身体の正中線に沿って、両乳房のやや手前と乳房の下、へそのあたりに結び目を作る。  美羽も沙莉が縛りやすいように頭を傾けたり縄を持ち上げたりして手伝う。「足を開いて。」「はい。」アナルにあたる結び目を作り前と同じような位置に背中側にも結び目を作る。肩甲骨の間を通り、下から首の縄に通す。脇から身体の両横を通して菱形を作っていく。最後は痛くない程度に強く締め込む。  美羽が玄関にある姿見に駆けていく。「すごーい!お姉ちゃん、綺麗に縛れてる。」美羽に気遣ったのか余った縄は背中側で大きなリボンのように結んである。  美羽も自分の身体を手本にしながら、沙莉に黒いソフトロープをかけていく。事前に練習でもしていたように思ったより手早く綺麗に縛る。  二人にシンプルなダイヤル式のローターを渡す。「御主人様にローターを頂いたらこうしてあそこに挟んで、スイッチは左側のストッキングに。」「お姉ちゃん、こう?」沙莉が教える。  沙莉の首輪にはチェーン、美羽の首輪には縄をかけて、コートを着せ、履いてきたブーツを履かせて外に連れ出す。  二人のローターのスイッチを入れ、弱めの振動にして、散歩に行く。「ハァハァ…。」吐息が漏れる。お互いに内股になるが、沙莉が教えて背筋の伸ばす。  沢に降りる細い道に入り、コートを脱がせる。美羽の顔が赤く染まる。手で胸と股間を隠そうとする。「駄目よ!手は身体の横!」沙莉が指導する。 「美羽は、こういうのはしたことないのか?」「夜の公園でしたことはあります。お昼は初めてです。」「こんな山の中、誰もいない。心配するな。」「はい、御主人様。」  美羽を慰めるように沙莉が手を繋いで沢へと歩く。沢へと着くとチェーンとリード代わりの縄を外して、好きに遊ばせる。「きゃー、冷たい!」「お姉ちゃん、水かけちゃ!冷たいって!」仲良く遊ぶ光景を観ながら大きな岩に腰掛けた。 「よし、ご奉仕しなさい!」ローターの振動の強さを中位にする。「くっう、ハァハァ…。」「アッ、ハァハァ…。」沙莉が教えて、靴から脱がせて、私の下半身を露出させる。躊躇せずに足の指から舐め始める。沙莉が隣にいるから美羽も迷いなく真似をする。  膝に上がる頃、「ローターを一番強くしなさい!」舐めながら沙莉が従い、美羽が続く。「勝手にイくなよ!いいと言ってからだ!」「アッアッ…アアア…。」二人の喘ぎ声が同調していく。付け根に辿り着く頃、「イっ、イっても宜しいでしょうか?」「お前のほうが先輩だろ!まだ、我慢しろ!」「は、はい…。」沙莉のほうがやや敏感なようだ。 「ご、御主人様、私もイっちゃいます!」「まだだ!」二人の奴隷の喘ぎ声を聞きながら、奉仕を楽しむ。沙莉がペニスを美羽が陰囊を頬張る。足を伸ばして、二人の股間のローターを押さえる。「御主人様、ダメ!イっちゃいます!」「十数えるまで我慢しろ!ほら数える!」二人揃って「十、九、八…。」つま先でグリグリとローターを動かす。「イっ、イくぅー!」二人同時に達する。 「と、止めても…。」沙莉が懇願する。「十秒我慢出来なかった罰だ。そのままだ!我慢出来たほうから止めてやる。」 「ひっ、アッアッ…。」「か、感じ過ぎちゃう。」  やはり、沙莉のほうが先にイってしまった。「もう、おかしくなっちゃう!美羽ダメ、そんなにしたら…。」罰として美羽が後ろから沙莉の乳首を愛撫しながらイかせた。  
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