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沖縄旅行(四)
目を開けると目の前に沙莉の大きな瞳があった。「おーいって、言ってましたよ!夏希とか。御主人様、大丈夫?」「ハハハ、やっぱり夢だよなぁ。ああ、びっくりしたぁ。」
沙莉に夢の内容を話す。「それ多分、正夢になりますよ!将来は、私がフランスから帰国して、夏希ちゃんも帰って来て、一緒に住むということですね。御主人様にお嫁に貰って頂くと、夏希ちゃんのママになれますね。楽しそうー!」「おいおい、いくつ違うと思ってるんだ。」「二十歳違いますけど、全然大丈夫ですよぉ!芸能人とか娘より若い嫁とか多いじゃないですかぁ。」「まだ、出会って一年にもならないんだから、よく考えないと…。」「えーっ!私、御主人様としか結婚したくないです!御主人様の子供欲しいし、夏希ちゃんがいるから、男の子がいいなぁ。」
この討論は、全く勝ち目が無いので、話をそらした。「まだ、早いし風呂でも入るか?」
二人で湯に浸かるが、沙莉が跨がって来ない。昨夜の調教とセックスで満足しているようだ。「御主人様、見て見て!」「ん?」「ほら、鎖骨のとこ。縄の跡が残ってる。」マッサージしようとすると、手を掴まれた。「消えちゃ、嫌なの。」沙莉の後ろに回って腕を回す。
「今日は、これを履いて!」沙莉に渡したのは黒いレースのTバックパンティだが、股間の部分がオープンクロッチになっていて、真中の紐に2cmほどのパールが連なっている。
ラビアの中にパールが食い込む作りだ。
「えっ、聞いたことはあるけど。こんなの初めて…。」顔を赤らめながらパンティに脚を通した。
那覇空港に着いた。パパラッチを警戒して、沙莉に帽子とサングラスを着けるように言ったが、両方ともスーツケースの中で、丸い伊達眼鏡をかけただけだった。「髪も切ってるし、誰もわかりませんよ!それより、あのこれ。」「ん?どうかしたのか?」黒いアジア柄のベアトップのマキシワンピース姿の沙莉がモジモジとしている。「痛いのか?」「痛くはないけど…。刺激が、ちょっと…。汚しちゃうかも?」「脱いでもいいけど、ノーパンだ。」「はい、御主人様。」
急いでトイレに駆け込んで行った。どうやら服が汚れるのが、気になるらしい。
沙莉が歩くだけで、老若男女問わず人目から集めてしまう。あのスタイルに露出の高い服だからしょうがないのだが、腕を組んで一緒に歩くと少々恥ずかしい。
ヴィラタイプのホテルに着くと、沙莉のテンションが上がる。「すごーい!ジャグジーがあるー!見て見て御主人様!海〜!」
ヴィラから海へ向かって坂を下るとちょっとしたプライベートビーチがある。三組のカップルが白いパラソルの下でデッキチェアに寝そべっていた。
ここなら人目も少ないし、大丈夫だろう。ピンク色のビキニ姿になった沙莉が、海へと駆け出していく。
「あれ?中山沙莉じゃない?」サングラスの女性の声が聞こえた。や、ヤバい!早々に退散しないと。
「まさか〜、髪型違うし、似てるだけだろ?」彼氏らしい男性が答える。
危ない危ない。ホッと胸を撫で下ろす。耳に聞こえてないだけで、あちこちでバレているかもしれない。このカップルも後日のテレビで、髪を切った沙莉を観て気づくだろう。
写真にでも撮られたら大変だ。沙莉も私もサングラスをかけた。
ビーチは小一時間ほどで切り上げて、水着のまま部屋の外のジャグジーに浸かった。周りに塀があるからと、沙莉は水着を脱ぎたがったが、もしも盗撮されたら大変だからと我慢させた。
「もぅー、旅行先なのに好きに遊べないなんてやだ!」ちょっとむくれているが仕方ない。「有名人になるのは、不自由と引き換えだから暫くは我慢しなさい!」「はーい…。」珍しく不機嫌な生返事だ。
「沙莉ちゃんの機嫌は、どうやったら治るのかなぁ?」まだ、口を尖らせてつーんとしている。
沙莉の耳元で囁く。「エッチしようか?」「えっ、いいの?御主人様、昨夜二回も…。」正直、ちゃんと勃起してくれるか不安だ。途中で中折れするかもしれないが、沙莉はそれでも喜んでくれるだろう。
サッとシャワーを浴びて、ベッドに潜り込んだ。「ちょっと疲れているみたい。少し寝ませんか?」自分が疲れているフリをして、私を休ませようとしている。「そうだ!御主人様、うつ伏せになって!」沙莉が太腿の上に乗った。
アジアンな良い香りがする。ハーブオイルを背中に薄く塗られ、マッサージが始まった。「最近、美羽とマッサージしあいっこしてるんですよ!痛かったら言ってくださいね。」
後頭部から首、肩へとほぐされていくうちに眠りに落ちてしまった。
「御主人様!晩御飯ですよ!」そのまま眠っていたようだ。「ありゃ、すまん!」「私もさっきまで寝てましたから。シャワー浴びてくださいね。」水色のミニワンピースに着替えて、メイクをしながら沙莉は答えた。
ホテルの敷地内にあるレストランは、周囲がプールに囲まれて、水に浮かんでいるように見える。店内は白を基調としたウッディな造りで、テーブルクロスやナプキンなどのリネン類は濃いブルーと白のコントラストでまとめられている。スタッフの服装もネイビーブルーで爽やかな印象だ。
エントランスからテーブルまで、エスコートされて席に着く。来店客だけでなくスタッフまでも、惹き込まれるように沙莉に視線が集まる。
「あれ、多分女優かモデルだよね。」「あのスタイルありえなくない?」「胸は造り物よね。」「きれい過ぎない?」店内に流れるハワイアンに混じって、ヒソヒソ話が聴こえてくる。
また、沙莉が機嫌を悪くするのかと心配したが、にっこりと少女のような笑みを浮かべている。純真で清純なのにふとした仕草に大人の女の色気がふわりと漂う。まるで見えないオーラが包みこんでいて、オーロラのようにその時々に応じて様々な色合いに変化していくようだ。
沙莉が何気に会釈をすると、視線を送っていた人達のヒソヒソ話が止んだ。
「今日は呑みたいなぁ。」「遠慮なくどうぞ!後は寝るだけになっちゃうけど。」「はい!昨日、いっぱいしてもらったし!」「こらっ!人前!」悪戯っ娘のように舌を出す。嬉しそうに鎖骨に残る縄跡に触れている。
コース料理は一種類のみ、最初のビール以外はワインペアリングでソムリエールに任せることにした。ビールで乾杯しつつ料理を待つ間、沙莉がソムリエールの動きを見つめている。
沙莉の視線に気づいたソムリエールが、フルートグラスを片手にこちらのテーブルに来た。沙莉がソムリエールに話しかける。「ごめんなさい!ワインを開ける動きがきれいで…。」「そんなの言われたの初めてですよ!」ソムリエールは柔らかな表情でシャンパーニュをサーヴする。
「今度の映画でワインを開けてグラスに注ぐシーンがあるんですよ!」「似合いそうだね。うん。」「ごめんなさい。旅行中に仕事のことで。」アミューズをつまみながら、映画の話で盛り上がっていく。
「きれい!」「美味しい!」「ワインとマリアージュするぅ!」初めて高級レストランへ行った少女のようにはしゃいで笑う沙莉に巻かれて、スタッフも来店客も笑顔になる。
ペアリングのワイン五杯を呑み干して、デセールに合わせて貴腐ワインとディジェスティフにブランデーまで頂いた。
酔ってご機嫌過ぎる沙莉を見送る他の客やスタッフに軽く会釈していく沙莉は、もうすっかり有名人だ。
部屋に戻るとちゃんとメイクを落としてスキンケアをする。こういうところは、やっぱりプロなんだなあと思う。
ベッドに入って来た沙莉の頭を左肩に乗せる。左脚を私の左脚に乗せて、股間に手を伸ばして、優しくペニスを握る。ライトを消して暫く話しているうちに寝息を立て始めた。
翌朝、沢山の鳥のさえずりで目が覚めた。まだ朝の七時だ。こちらに背中を向けて眠っている沙莉をベッドに残して、ビーチへと散歩に出てみた。カラッと海風が頬を撫でていく。
誰もいない白いビーチに座って海を眺めた。碧い、ただひたすら碧い。自分の中のあらゆる汚れが流されていくような気がする。沙莉との将来のことを考えていた。このまま一緒になるのも悪くはない。きっと幸せな生活が待っているだろう。
でも、長年積み重ねてきた彼女の夢は叶えなければならない。食べたい物も食べず、寝る時間も惜しんで身体を鍛え、たくさん学んできたのだ。夢にはもう手が届いているのだ。
今はSMを通した主従関係から恋愛感情を持ちのめり込んでいるが、熱が冷めてしまえば白紙に戻っていくはずだ。結婚相手も社会的地位の高い人を選んで、何不自由無く贅沢に暮らしていけるだろう。
部屋に戻るとシャワーの音がしていた。風呂場のドアが開いて、濡れた髪の沙莉が顔を出した。「もう!どこ行ってたんですかぁ?心配したんだから!」ちょっと怒っている顔もすっぴんだとより可愛い。「野鳥がたくさん鳴いていたから、撮影しようと思ってね。」
沙莉と一緒にシャワーを浴びた。背中に柔らかな乳房が触れる。「お願い…一人にしないで…。」「ごめんごめん。眠ってたから。」振り向いて唇を重ねた。軽いキスのつもりが、沙莉の熱い舌が入り込み。舌を絡め取られる。
「あっ、御主人様のが元気になってる。おはようございます!」沙莉がしゃがんで亀頭にキスをする。
再び立ち上がり、股間にペニスを挟んでしまった。「お仕置きですぅ。」素股の状態で腰を軽く前後させる。反応したペニスが硬くなり、ビクビクと動く。「あっ、ハァン。おとなしくしてね。」「ハハハっ、お仕置きになってないぞ!」
レストランでバイキング形式の朝食を食べながら、今日のスケジュールの相談をする。「ちょっと、取り過ぎちゃったかも?御主人様食べて!」「ハハハ、欲張り過ぎだよ!」「だって、美味しそうなんだもん!あーんして!」
いい歳になるとこういうのは、少々照れ臭いもんだが実は嬉しい。
「今日は、美ら海水族館でしょ。そこから備瀬崎に行って、那覇でお土産とか買って…。んと、公設市場の二階で買ったお魚とか料理して貰って食べれるらしいわ。ホテルにオシャレなバーもあるし…。」「移動時間もあるから、全部は難しいだろうけど、美ら海水族館へ行こう。」
Tシャツとデニムの短パンに着替えていた沙莉を青いノースリーブのミニワンピースに着替えさせる。「えーっ、短パンはお嫌いでした?前は褒めてくれたのに?」「ううん、ほらこいつでちょっと遊ぼうかと思ってね。」スマホで操作出来るリモコンバイブを見せる。「あっ、これ!」「嫌か?」沙莉が首を振る。「はい!」手渡しすると、自ら白いパンティの中へ入れようとした。「まだ、後でいいよ!バッグに入れてて。」「はい。御主人様。」焦った自分が恥ずかしいのか、顔を赤らめて微笑んだ。
ホテルをチェックアウトして車で美ら海水族館へと向かう。58号線を北上して名護を越えて、海岸線の道へと走る。一時間ほどの道のりだ。助手席に座る沙莉から花のようなほんのりと甘い香りが漂う。運転しながらくんくんと匂いを嗅いでみる。「あれ?何か臭います?」「やっぱり花のような淡い匂いがするんだよな。」「えっ?お花ですか?」「何時ものシャンプーとリンス?」「今は宿にあるのを使ってますけど…。」沙莉の肩に手を回して抱き寄せる。「あんっ。」「やっぱり、お前自身の匂いなんだ。ずっとシャンプーとかリンスと思ってた。」「えっと…。」「ほんのりと甘くて好きな匂いだ。」「良かったぁ!御主人様の匂いも好きですよ!」くんくんと首あたりを匂う。「どんな匂いだ?」「うーん、加齢臭!」「こらっ!」「きゃー!暴力反対ー!」「ハハハハ!」
警備員の誘導に従って、美ら海水族館の駐車場に停めた。「御主人様!」左を向くと白い手が頬を持って軽く唇を重ねた。「えへへっ。」少し照れてる沙莉が可愛い。
車のドアを閉めるとサングラスをかけた。沙莉の右腕が左腕に巻き付く。腕組みというよりも胸に抱きしめている。沙莉のスタイルの良さから、老若男女問わず親子連れの子供までこちらを見つめている。
沢山のオブジェがある歩道を抜けて、エントランスでチケットを買って入場する。下階へと下るエスカレーターから綺麗な海が見える。「うわぁ、きれい!下にほら、ビーチもある!」「一通り観たら降りてみよう。」
美ら海水族館自慢のジンベエザメが泳ぐ巨大水槽から順路に従って観て回る。「すごーい!見て見てー!」少女のように走り回る沙莉、娘とデートする父親のような気分だ。
館内のレストランで昼食を摂り、途中で外のプールのウミガメを観てから、イルカショーを観に向かう。まだ暫く時間があるので、ショーのプールに繋がった隣のプールを観に行く。
壁の小窓からしか観れないが、沙莉が気になるのかイルカたちがこぞって沙莉の前にやってくる。「うわぁ〜!可愛いー!」沙莉はイルカが大好きだ。将来、大金持ちになれたら、海から自宅のプールまで水路を敷いて、野生のイルカと遊ぶ日々を送ってみたいらしい。
イルカショーも最前列で観たそうだったが、子供たちに譲ってあげたいと真ん中の高さの席へと座った。「何かドキドキしちゃいますね!」イルカショーを観ながら歓声をあげてはしゃぐ姿は最前列でイルカがジャンプする度に水飛沫をかけられている子供たちと変わらない。沙莉につられて私も少年に帰ってしまったようだ。
最後に寄った館内のショップで沙莉が巨大なジンベエザメとイルカのぬいぐるみを両脇に抱えている。「うーん、どうしようかな?」「それ持って帰るのか?スーツケースに入らないだろ?」「よし!この子たち両方買います!」両方とも1m位あるのだがどうするのだろう?
レジの人と話して自宅に送ってもらうようにしたみたいだ。「えへへっ、買っちゃった!」「送料も入れたら、結構な値段だろ?いくらした?」財布からお金を渡そうとすると、「いいんです!今はお金ありますから。それに抱き枕に欲しかったんで。」「二つも?」「ジンベエくんは美羽に、イルカちゃんは私です!」
土産に夜光貝で作られたピアスを沙莉にプレゼントした。
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