いらない父親、至らない母親

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 けれど、何か月たっても、旦那は息子を抱いてはくれなかった。  平日も休日も、家に帰ってきてるのかも分からない日々。  生活費は私が管理していたけれど、稼いでいるのは旦那だ。  私は一人きりで、息子を守るために、家にいることしかできなかった。  本当は、生活費だって自分でなんとかしたい。  旦那の収入に頼る生活をしなければ、自分と息子だけで生きていけると思った。  けれど、まだ歩けもしない、幼い息子を抱えた私は仕事もできない無力な人間。  息子が寝返りをして、お座りをして、つかまり立ちをして――  そんな成長を分かち合えるのは、メール上の母だけで。  息子の成長は嬉しいもののはずなのに、たった一人で子供を抱えている私にとって、それは想像していた何倍も辛くて泣きたくなる連続だった。
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