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 放課後、といっても、伶央には塾があり春斗には教習所に通う予定があった。そのため、必然的に話は帰り道になる。  伶央は自転車で、春斗は電車で通学しているので、駅までの道を並んで帰った。伶央にとってはただの迂回だが喜んで自転車を押して歩きながら、早々に口火を切った。 「つまりね、俺は木塚と友達になりたいわけ。なんで、とか言うなよ?」  先手を打たれ、春斗は発する言葉を失い、視線を彷徨わせる。 「理由なんて無い。いや、無いわけじゃないけど、納得してもらえるような理由は無い。だいたいそんなの問題なくない?」 「……」 「俺と仲良くなることは木塚にとって得だと思うけど。知りたいでしょ? いまの木塚先生のこと。手垢まみれの卒アルじゃなくてさ」  煽るようにそう言えば、春斗の頬に緊張が走った。ぐっと奥歯を噛みしめ、そのせいか表情筋が引きつる。ずっとこうやって堪えてきたのかと思うと気の毒だった。 「昨日も言おうと思ったんだけど、別に図書委員を三年も務めなくても、一回あの写真をスマホに入れちゃえばそれで完了じゃないの?」 「そういうことじゃない。写真は勿論もう撮ってる。でも、現物に価値があるんだよ」 「へえ……」  分かるような、分からないような。  伶央が理解しようと考え込んでいると、「ほんと、東瀬って変わってる」と呆れられた。
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