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「一人だと余計な干渉をされない。俺の家のこととか、成績のこととか。ほっといて欲しいんだ」  答えを聞いて、伶央は苦労して感情を抑え込んだ。彼に大いに干渉しているのはまさに自分であり、予想はしていたけれどはっきり宣言されるのはショックだった。だが、ここでたとえば謝ったり、反論したり、何かしらリアクションをすればせっかく春斗が胸襟を開いてくれているのに水を差してしまう。たとえこれが伶央に対する苦言を意味するものだったとしても。  何食わぬ顔をして黙って息を詰めていると、春斗は言葉を続けた。 「それに、一番いやなのは、……女の子の話。あと、下ネタ。本当に困る。そんな話をするくらいなら、一人で居た方が百倍ましだ」  伶央は、はっとした。さっきの言葉が自分に向けての拒絶を表したものではないと気付いたからだった。実際には伶央のことも含まれているかも知れないが、総括的な答えだと分かり、春斗が本音を吐き出してくれたことを、不謹慎だが嬉しいと思った。 「高校は、同じ中学の子が少ないし、みんな大人でそっとしておいてくれてるけど、中学の時はほんとにいやだった。好きな人がいるかどうか探ろうとしてくるし、グラビアとか変なDVDとか見せられるし」  何かを思い出したのか、春斗は顔をしかめた。 「小学校の時も、いつからかな。すごくいやで、人と居るのが。自分がみんなと同じじゃないのは分かってるから」 「え、そんな前からなんだ」  そうだよ、と春斗はうっそりと笑った。 「こんな話を聞きたかった? 伶央はどうして、俺にこだわるの? 小中(しょうちゅう)の奴らと同じ?」
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