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雷鳴が轟く暗雲の立ちこめた空を背景に、大きくて荘厳な城がそびえ立っている。
ここは選び抜かれた者たちだけが通うことの許される最高峰の魔術学校。生徒たちは己の知識と魔力を使って研究を行い、薬の製作や魔術の開発、悪魔の召喚を試みるなど力を付けることに余念がない。
そんな極上の魔力に溢れた場所に魅せられた悪魔が一人、城の上を漂っている。
芳醇でまろやか、まるで上質なワインのような魔力に惹かれた悪魔――メフィストフェレスの耳に突然どこかから声が飛び込んでくる。
「ふふっ、うふふ。もうすぐ邪魔がいなくなる。楽しみでしょうがないわ」
甘さの中にほんの少しのスパイシーさをはらんだ声にメフィストは赤い舌をチロリと出して笑みを深める。
「なんて、美味しそうな魔力なんだ。これはぜひ、俺様のものにしてやろう」
メフィストは一見すれば美青年にしか見えないが、耳の上に立派な巻き角を持っていて妖しい魅力を放っている。
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