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悪魔にとって、人間の高い魔力は最高の食事だ。そのため、プライドの高い上位悪魔も気まぐれに人間の召喚に応じることがある。メフィストも腹を空かせて、ふらふらとここに辿りついた口だった。
もちろん上位悪魔は人に簡単に使役などされない。呼びだした人間の魔力を喰いつくそうと召喚に応じるのだ。メフィストもそのつもりでここまでやってきていた。
呼びだした悪魔を使役するのは難しい。それはもちろん人間側も知っていて、召喚術は最高峰のこの学校でさえ行われることが少ない魔術だ。
だが今、道は拓かれた。
魔法陣が展開され、虹色に輝く魔法の道が甘く芳醇な香りを放ってメフィストを誘う。
「我、汝を呼び出すものなり。虹の架け橋によって、我が元へと現れよ、応えよ!」
赤黒いインクで部屋いっぱいに描かれた魔法陣の中心には、動物の頭の骨が簡素に設えられた祭壇のようなものに捧げられている。
メフィストは向けられた杖から与えられる魔力を赤い舌でチロリと舐めて首を傾げる。
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