17:シナリオ

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17:シナリオ

   自分が恋人である後輩を知ったのは高校二年の秋頃だった。  後輩を見つけたのはたまたまだった。  ほっそりした小さな身体にまん丸の目、色白の顔に桃色に染った頬。  買い物袋を持ってとぼとぼ歩く彼を見てすぐに一目惚れをした。   --------- 「あぁ、同じ中学ッスよ」  友人の後輩に彼と同級生がいて色々教えてもらった。  どうも家が近いここの学校を第一志望として受験するという事を聞く。 「何か聞いた話、家庭環境が良くないみたいなんですよね」  親とは離れて祖父母と同居している事、学校でも友達はおらず、一人でいる事が多いと聞く。 「これ、噂なんですけどね。バース検査でΩだったんじゃないかって一時期噂になってたんですよ」 「····へぇ」  Ωねぇ·····。  もし、そうなら何と運命的な事だろうかとバレない程度に口角が上がる。  最近手に入れた#椅子__・__#も確か同じ高校を受けると言っていた事を思い出す。  なんでその椅子を手に入れたかなんて····何だっただろうか  元々、親父の働く会社の取引先の社員の息子だったのをいい事に遊んでやったらコロッと自ら椅子になったんだったか····· 「お前さ、入学したらこの子と友達になって来い」  友人の後輩から貰った写真を椅子に見せて命令する。クラスが違くても関係なく積極的に話して彼の事を探るように伝える。 「···ぇ?」  どうして?と、困惑する椅子に「命令さえ従っていればいい」「余計な詮索するな」と、圧をかける。  運が良かったのは椅子が彼と同じクラスになった事。  命令通りに従う椅子に信頼を置いた彼が色々話してくれた事で彼の事を知ることが出来た。  どうやって手に入れるか。 「普通に仲良くなれば良くね?」  友人がそんな事を言うが、それだけではダメだと自分の黒い部分が出てくる。 「·····あのさ、ちょっと頼まれてくんね?」  愛情に飢えている彼を更に依存させて自分しか必要ない状態にしないと気が済まない。 「俺らはお前の頼みなら別に良いけど·····」 「お前#バイストフィリア__強姦性愛者__#だもんな!」 「誰がだゴルァ!!」 「てか、寧ろその子の処女奪っていいの?」  戸惑う友人達に笑顔で言う。  先の展開を考えればそんなもの些細な事だと。  彼の初めてが欲しいのではなく欲しいのは彼自身。  裏切られて傷付いて、味方が誰も居らず、家族も居場所もない彼の拠り所は 「俺だけでいい」
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