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「あの…倉坂くん!」
「……何だよ。」
うわー…風紀委員の子、
修羅の倉坂に声かけにいったぞ。
度胸あるなー。俺だったらあんなヤンキーに持ち物検査なんてさせないわ。
…ですよねわかります。私もそうなんです!
周囲の生徒達の声に槍房高校の風紀委員を
務める朝比奈雪奈は心の中でそう嘆いた。
目の前にいる有名な不良兼クラスメイトの倉坂礼央はネズミを前にしたコブラのようにこちらを威圧的な目で見下ろしている。
…こ、怖い!でもだめだ!ちゃんと検査しないと先生に怒られる!
「ぽ、ポケットの中が震えていますよね…もしかして、け、携帯…持ってますか…?」
「携帯なんか持ってねぇよ!第一、ポッケに入ってんの携帯じゃねぇし!」
「ひぇっ!?ご、ごめんなさい…!
えと、じゃあ…な、何が入ってるんですか…?」
もしかしたら嘘をついていて本当は携帯かもしれないと思い、恐る恐る雪奈は尋ねた。すると礼央は舌打ちをしてポケットから手を出す。
すると、ポケットには何も入っていなかった。
「えっ…!?な、何も…入ってない…?」
「そうだよ!さみぃからポッケに手ェ突っ込んでだよ!それでもさみぃから手が震えてんの!」
だからといってそんなに震えるか…?
「寒がりでわりぃか?」
「はひゃっ!?心の声がそのまま…!っ、
ごめんなさい!」
雪奈は慌てて口を押さえぺこぺこと頭を下げる。ほして礼央は何も持っていなかったのに、疑いを持ってしまったことに反省し。お詫びとしてカイロを取り出した。
「ほ、本当に…ごめんなさいっ、これ…カイロです…その、よ、よよ…よかったら…っ!」
「…はぁー…。」
礼央がため息を吐き、カイロを受け取り学校に入っていく、姿が見えなくなったのを確認した雪奈ははぁ、とため息を吐き。遅れて学校に入った。
…怖かったなぁ。内申点アップのためとはいえ、生徒会やだなぁ。
今度はしっかりと内心で呟き、雪菜はまたため息をついた。
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