1人が本棚に入れています
本棚に追加
命の終わり
私の命はもうすぐ終わる。愛する人の腕の中で。
「もしあなたが……私を……少しでも好いてくれるなら……どうか私の体を……あなたの僕に……変えて……下さい」
「意志も感情もなく、俺の意のままに動く傀儡となるのだぞ?」
「それでも……構わない……あなたのそばにいられる……から……」
「お前は……」
「飽きたら……捨ててくれていい……だからどうか……お願い……」
目を開けていられなくなる。喉を震わせる事もできない。吐く息も少なくなっていく。寒くて寒くて仕方ない。
でも、これだけは、どうしても伝えたい。私は必死で声を発する。
「あい……して……る……」
息を飲む音が聞こえたような気がする。鈍い感覚の中、瞼や頬、そして首筋に、彼の熱を感じる。囁くような優しい声が、甘く私の耳に響く。
「俺も、愛している」
そして、首筋に鈍く、痛みが走る。その痛みは、私が彼のものになれる証。その喜びに体が震え、涙が流れる。
「うれ……しい……」
そこで私の命は、終わった。
最初のコメントを投稿しよう!