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ちなみに、瀬戸との仕事はそれなりにいい感じだ。
中学時代、俺はクラスの中心にいるいじられキャラ──今となっては考えられないが──であり、一方で瀬戸は途中で転入してきた、おとなしいやつだった。小柄で髪はサラサラで、男として意識されない俺とは違い、女の子にけっこうモテていた。
もともと、ただのクラスメイトで、それ以外の接点もなかった俺たち。すっかり余裕のある大人の男になった瀬戸だが、雑談もそこそこ、仕事終わりに飲みに行ったりすることもなく、ビジネスライクな関係で落ち着いている。俺としては、職場の人間関係として最も理想的な形である。
「それじゃ、瀬戸さんにも聞いてみて、オッケーであれば今日の午後から、おふたりのとこに行ってみましょうか」
そうして昼過ぎの一番眠い時間、俺と瀬戸が幽に連れられ、向かったのは──。
「……映画館?」
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