出会い

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そんな生活が数年続き、私は高校三年生になっていた。 美術館からの縁で、写真部に入部しなんの因果か然程興味もなかった写真撮影というものにのめり込んで行き最後は部長にまでなっていた。 とはいうものの総勢十人に充たない小さな部活ではあるのだが、そこでの活動はたまらなく私を駆り立てていった。 まるで己の価値観を試すように、美しい被写体を最も美しく取れるように工夫し、そしてそれができるように様々に勉強をしていった。 自己満足でしかないのだが、何千枚と撮ってきた写真の中には世界で一番美しく撮れた、そう思えるような作品もあった。 名もない野花は美しく、名のある名跡は美しく、名もない風景は美しく、名のある山の風景もまた美しい。 私は写真部の活動で様々に美しいものに出会い、そしてそれをカメラに納めていった。 いくつかの賞もいただき、それが自信にもなっていった。 そして進路を決める、その時。私は決断をしていた。
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