27人が本棚に入れています
本棚に追加
『……私も来年、先輩と同じ大学行きます!』
それが精一杯だった。
去年の三月。先輩の卒業式。
伝えたい想い。声にしたい言葉はいっぱいあったのに。
ふり絞った勇気は、そこでもう震えて何も言えなかった。
そんな私の頭を、先輩は軽く、ぽん、ぽん……って。
『うん。待ってるな』
そう優しく笑ってくれた。
一つ年上の伊村先輩。
去年、美化委員で一緒になっただけの繋がり。
これが同じ部活とかなら、まだSNSで連絡先の交換とか出来たかもしれない。でも委員会じゃそんな連絡のやり取りは必要ない。プライベートで会ったこともない。ただ、委員会で一緒に活動しただけ。
それだけでも、先輩は私にとって大切な人なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!