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お守りがどこまで効果があったかはわからない。実際のところは先輩の努力の賜物だろう。第一希望の大学に合格したと、卒業式の日に教えてくれた。
そこで私は、先輩が東京に行くことを知ったんだ。
そりゃあ卒業したら会える可能性は低くなるとは思っていたけど、まさか東京に行くなんて……。飛行機とまではいかないけど、新幹線じゃないといけない距離。街中で偶然ばったりなんて絶対にありえないじゃない。
「……わた、私もっ! 私も来年、先輩と同じ大学行きますっ!」
思わず言葉にしてしまった。
でも、言葉にした瞬間、絶対に叶えてみせると思った。
今、想いを口にする勇気もないくせに。
追いかけて、そのあとどうするかなんて考えもせず。
ただただ、あなたの傍に行きたい。これで終わりにしたくない。
そう、思った。
ぽん、ぽん、っと頭に優しい振動が伝わる。
「うん。待ってるな」
そう優しく笑ってくれたんだ。
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