ただ、会いたくて

　お守りが効果あったのか、絵馬の思い込みが効果あったのか。ううん、頑張ったんだからその努力の成果なんだとか。色々思うし、全部効果あったんだ。なんだっていい！　合格すればそれがなんのおかげだってなんだっていい！

　両親は密かに落ちることを期待していたと思う。だって一人娘が離れるのが寂しいってハッキリ言うし、仕送りだって大変だもんね。でもごめんね。私も離れるのは寂しいけど、それより叶えたい願いの方が強いんだ。

　合格が決まってからはあっという間だった。なんせ同じように上京組はたくさんいる。条件が良い物件は奪い合いなんだ。住む場所、入学手続き、独り暮らし用の家具家電選び。あっという間に時は過ぎた。

　即行動が功を奏したのか、大学の沿線、駅から五分の学生マンションに入ることが出来た。築年は少し経ってたけど綺麗だったし、なによりお母さんがここならセキュリティが安心できると納得した。

　引っ越してビックリしたのは、東京っていっても、すべてが都会じゃないんだなって事。私の通う大学は東京でも二十三区じゃない。学生マンションの最寄駅から電車に乗って車窓を眺めてみても、正直地元とあまり変わらなかった。そのことが残念という気持ちもありながらも、見慣れた景色と変わらないと思うと、無意識に入っていた身体の力がふっと抜けていった。