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賢ちゃんは、保健室で、葵くんと神谷兄弟の魔除けグッズに気づいたんだね。
怜音くんがわたしを見て、にっこりとほほ笑む。
「ぼくは、吉丸センパイとうさぎ小屋で話していたときに好きになっちゃいました」
「おれは雨のなか、傘を差しだされたときだな。あれはグッとくるぜ」
紫音センパイが言えば、葵くんも照れくさそうに口をひらいた。
「おれは、長閑中央駅のホームで会ったときだね。泣いてるのに気づいて、胸がしめつけられるように苦しくなって……。男って、女の子の涙に弱いからさ」
わたしの胸の高鳴りは、とっくに限界をこえていた。
四人のイケメン王子たちに、立てつづけに告白されたんだもの!
だけど――。
素直に喜んでいいワケはない。
わたしは、黒魔女マヤに魔石を取りあげられ、魔眼を失ったことを説明した。
「ごめんなさい! わたし、魔眼の力でみんなをあやつってイイ気になってた。いざ力を失ったら、みんなが離れていって、それで落ちこむような……ダメな人間なんだよ。湊斗くんたちに恋される資格なんて……ないのっ! だから……」
自然と、心のうちを吐きだしてしまった。
でも、イケメン王子たちの表情は変わらなくて……。
湊斗くんが腕をのばして、わたしの頭にポンと手を置いた。
「つむぎがダメなんてこと、絶対ねぇよ。おれたち四人、つむぎの強さとか、やさしさを知ってる。だから、こうしてあつまったんだ」
すると、葵くんがさわやかに言った。
「そうだよ。おれと湊斗がフツーに話せるようになったの、吉丸さんのおかげなんだよ?」
怜音くんが、人なつっこい笑顔を浮かべながら言った。
「吉丸センパイのやさしさは、ぼくがだれよりも知ってますから!」
紫音センパイが、色気たっぷりの笑みを浮かべて言った。
「つむぎの気の強いところ、おれは大好きだぜ」
四人の言葉が、わたしの心のなかの黒いものを浄化してしまった気がした。
だから、わたしは笑顔で言えたんだ。
「ありがとう」
おわり
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